巫州

巫州（ふしゅう）は、中国にかつて存在した州で、現在の湖南省懐化市一帯に位置していました。その成立から終焉まで、時代とともにその姿を変えていった巫州の歴史を以下に解説します。

唐代の成立

巫州は、634年（貞観8年）に唐によって辰州から竜標県を分離して設置されました。この際、夜郎・朗渓・思徴の3県が置かれ、新たな行政区画としてスタートを切りました。しかし、翌年の635年（貞観9年）には早くも思徴県が廃止され、その統治体制は早くも変化を見せ始めました。

武周による改称と再編

691年（天授2年）には、武周によって巫州は沅州（げんしゅう）と改称されました。同時に、夜郎県を分割して渭渓県が置かれ、管轄地域の再編が行われました。この時期は、王朝の交代とともに、地方行政区画も大きく変動していたことがうかがえます。

舞州の分離と潭陽県の設置

703年（長安3年）には、沅州から夜郎県と渭渓県が分離され、新たに舞州（後の奨州）が置かれました。これにより、沅州（旧巫州）の管轄範囲は縮小されることとなりました。713年（先天2年）には、唐によって潭陽県が置かれ、さらなる行政区画の調整が行われました。

巫州への復称と潭陽郡への改称

725年（開元13年）には、沅州は再び巫州へと改称され、元の名称に戻りました。しかし、742年（天宝元年）には、巫州は潭陽郡（たんようぐん）と改称され、郡制へと移行しました。この時期は、唐の地方行政制度が頻繁に変更されていた時期であり、その影響を受けて巫州もまたその名称を変えることとなりました。

再び巫州へ

758年（乾元元年）には、潭陽郡は再び巫州へと改称され、元の州制に戻りました。この時の巫州は江南西道に属し、竜標・朗渓・潭陽の3県を管轄していました。しかし、その変化はまだ終わりませんでした。

叙州への改称と沅州への再改称

770年（大暦5年）には、巫州は叙州（じょしゅう）と改称されました。そして、1074年（熙寧7年）には、北宋によって叙州は沅州と改称され、その名称は再び変わることとなりました。このように、巫州は時代や王朝の変遷とともに、その名称や管轄地域を何度も変更しながら、その歴史を刻んでいったのです。

巫州の歴史は、中国の地方行政制度の変遷を反映しており、その変遷を追うことで、当時の政治情勢や社会状況を垣間見ることができます。

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