己婁王

己婁王について

己婁王（きるおう、生年未詳 - 128年）は、古代朝鮮の百済の第3代目の王であり、その在位期間は77年から128年に及びます。先代である多婁王の嫡男として、33歳で太子の地位を得た後、77年9月に父の死去により王位を継承しました。偉大な王の名や諡号は残っていませんが、彼の治世は百済にとって重要な時代でした。彼には後に蓋婁王と名乗る王子が生まれています。

治世の初期

己婁王の初期の政権は、新羅への侵攻を含む軍事的な行動が特徴的でした。新興の勢力として新羅に対抗する必要があったため、彼は百済の軍事力をもって新羅に攻め込みました。しかし、その後時代が進むに従い、己婁王は新羅との和親を模索するようになります。これには、辺境地域に住む靺鞨に対する共同防衛の必要性が背景にあったと考えられています。

和親政策の展開

105年には新羅に使者を送って和睦を求め、さらに113年には贈り物を持参して新羅を訪れるなど、関係改善に向けた積極的な歩みが見られました。このように、己婁王は敵対的だった新羅との関係を徐々に和解へと導いていきます。彼の政策は、新羅との安定した関係を築くことで、百済の国力を強化することを目的としていました。

靺鞨への対応

また、125年には靺鞨が新羅を侵攻する事態が発生し、新羅からの救援依頼を受けて己婁王は5人の将軍を派遣し、靺鞨兵を撃退しました。この出来事は『三国史記』の百済本紀及び新羅本紀に記録されています。このような迅速な対応は、己婁王が周辺国との軍事的バランスを維持するためにどれほど注力していたかを物語っています。

統治の評価

己婁王は128年11月、在位52年を経て死去しました。彼の治世は、781年の歴史の中でも長期にわたり、彼が統治した年間は『三国遺事』では55年とされ、これには数え方の違いが影響しています。彼の長い治世の中で、多くの政治的、外交的な取り組みが行われ、百済の国力や発展に寄与したことは間違いありません。

参考文献

• - 金富軾撰、井上秀雄訳注『三国史記』第2巻、平凡社〈東洋文庫425〉、1983年 ISBN 4-582-80425-X

こうした己婁王の業績は、百済の歴史における重要な一章であり、彼の治世を通じて国は成長と発展を遂げました。

もう一度検索