市川青虎 (2代目)

二代目 市川青虎（いちかわ せいこ）は、昭和58年（1983年）6月29日に東京都豊島区に生まれた日本の俳優、また歌舞伎役者である。本名を三浦 弘太郎（みうら こうたろう）といい、歌舞伎の屋号は澤瀉屋（おもだかや）。定紋は四方澤瀉（しほうおもだか）で、市川弘太郎時代は雪輪に立澤瀉（ゆきわにたちおもだか）を用いていた。

歌舞伎の世界へ足を踏み入れたきっかけは、2歳で観劇したスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』だった。その舞台で初代市川右近（後の三代目市川右團次）の演じるタケルの姿に強い憧れを抱き、将来は歌舞伎役者となることを心に決めたという。3歳になると、基礎訓練として伯母にあたる日本舞踊家の林 千永（林流千永派家元）のもとで日本舞踊を学び始めた。後に三代目市川猿之助（後の二代目市川猿翁）の門下に入り、日本舞踊紫派藤間流を修練。同派での名取名には藤間弘大を持つ。

平成5年（1993年）12月、第一回「市川右近の会」にて『勧進帳』の太刀持ち役で初舞台を踏んだ。平成7年（1995年）には、スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』でヘタルベ役を演じ、その演技が評価され奨励賞を受賞。同年7月には、「市川猿之助七月大歌舞伎」の『網模様燈篭菊桐』（通称：小猿七之助）における日吉丸役で市川弘太郎を名乗り、三代目市川猿之助の部屋子として本格的に歌舞伎の道へ進んだ。学業も両立させ、平成19年（2007年）には慶應義塾大学商学部を卒業している。

市川弘太郎時代には、その活動は多岐にわたった。平成20年（2008年）12月には、東京都が主催した東京オリンピック・パラリンピック招致イベントに出演し、市川右近（当時）と共に『連獅子』を披露。平成27年（2015年）3月には、ユニクロと歌舞伎が協業した『Shochiku Kabuki and Uniqlo Project』に参加し、四代目市川猿之助（現：市川猿之助）らと共にポスターモデルを務め、歌舞伎をモチーフとしたTシャツやステテコなどの商品開発にも携わった。さらに平成28年（2016年）5月には、ラスベガスで行われた初の歌舞伎公演『獅子王 ~Kabuki Lion~』に出演。五代目中村歌六や七代目市川染五郎（現：松本幸四郎）らと共演し、培ってきた語学力を活かして英語で役を演じたことは特筆される。

また、熱心な広島東洋カープファンとしても知られており、野球関連の活動も積極的に行った。平成29年（2017年）には、同年度のカープ応援サポーターに就任。伝統的な連獅子の姿で、マツダ スタジアムでのカープ主催試合の際に流れるプレイコール映像に登場したり、応援歌『それ行けカープ ～若き鯉たち～』のファンリレー映像に参加したりした。同年9月には、カープの本拠地マツダ スタジアムで行われた公式戦で国歌斉唱と始球式を務めた。この際、スタンドで観戦していた故・津田恒美氏の妻・晃代氏と偶然出会い、一緒に写真を撮ってもらったエピソードを後に自身のブログで明かしている。その他、テレビドラマ『暴れん坊将軍』などへの出演経験もある。

平成30年（2018年）には重要無形文化財（総合認定）保持者として認定され、伝統歌舞伎保存会会員となった。令和3年（2021年）夏には、自身の名を冠した自主公演「市川弘太郎の会」を東京建物 Brillia HALLで開催し、市川團子や中村七之助らを迎えて猿之助四十八撰ノ内『義経千本桜』より「吉野山」と「川連法眼館の場」を上演するなど、精力的な活動を展開した。

令和4年（2022年）1月、長年名乗った市川弘太郎の名を改め、二代目市川青虎を襲名することを発表。同年3月の歌舞伎座三月大歌舞伎『新・三国志』関羽篇の諸葛孔明役でお披露目した。この襲名により、幹部俳優への昇進を果たしている。襲名にあたっては、初代青虎の墓前に報告を行うとともに、ご家族から初代が愛用した品々（浴衣、薬味箱、落款など）を受け継いだという。

その家系も特徴的である。母方の曾祖父は、昭和初期に山窩小説で知られた作家の三角寛（みすみ かん）。その娘婿にあたる祖父は、名画座として親しまれた池袋文芸坐のかつての経営者、三浦大四郎である。その娘夫婦にあたる両親は、曾祖父・三角寛の旧邸を利用して料亭「雑司が谷 寛」を経営していた（令和元年12月26日閉店）。また、兄弟はラスベガスやロサンゼルスで旅行業や飲食店を営んでいる。伯母は、幼少から日本舞踊を学んだ林流千永派家元、林千永である。

これまでの活動の中で、平成7年（1995年）のスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』ヘタルベでの奨励賞、そして平成19年（2007年）の国立劇場奨励賞などを受賞している。

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