市川鶴鳴

市川鶴鳴（いちかわ かくめい）は、元文5年（1740年）に生まれ、寛政7年7月8日（1795年8月22日）に没した江戸時代中期の儒学者です。名は匡（まさし）、通称は多門（たもん）と称しました。

生涯

鶴鳴は高崎藩士の家系である市川正芳（いちかわまさよし）の子として生まれました。父の死後、藩を離れ、荻生徂徠（おぎゅうそらい）門下の大内熊耳（おおうちゆうじ）に師事し、儒学を修めました。その後、蘐園学派（けんえんがくは）の学者・講師として、尾張（おわり）、薩摩（さつま）、畿内（きない）などを転々としながら活動しました。

寛政2年（1790年）に寛政異学の禁（かんせいいがくのきん）が発令されると、鶴鳴は学問の統制に反対する立場から、亀田鵬斎（かめだぼうさい）、山本北山（やまもとほくざん）、冢田大峯（つかだたいほう）、豊島豊洲（とよしまほうしゅう）らと共に「五鬼（ごき）」の一人として知られるようになりました。

寛政3年（1791年）には、かつて仕えていた高崎藩からの招聘を受けました。没後、墓は東京都港区虎ノ門（とらのもん）にある光明寺（こうみょうじ）に建立されました。

鶴鳴の子には、兵学者の市川一学（いちかわいちがく）がいます。

主な著作

『末賀能比連（まがのひれ）』：筆名は市川匡麻呂（いちかわまさまろ）。本居宣長（もとおりのりなが）の『直毘霊（なおびのひれ）』に言及されている国学思想を批判した内容が記されています。
『大学精義（だいがくせいぎ）』
『中庸精義（ちゅうようせいぎ）』
『帝範国字解（ていはんこくじかい）』
『臣軌国字解（しんきこくじかい）』

参考文献

市川鶴鳴 - 古典籍総合データベース（早稲田大学図書館）

もう一度検索