布目ダム

布目ダムの概略

布目ダム（ぬのめダム）は、奈良県奈良市の北野山町にあり、木津川左支流の布目川に建設された重要なダムです。このダムは、木津川上流ダム群の一部として位置付けられており、地域の水資源管理や洪水調整に寄与しています。

歴史的背景

布目ダムの建設は1967年（昭和42年）に始まった「淀川水系改訂基本計画」に基づいています。この計画によって建設された他の多くのダムと同様、布目ダムも関西圏の人口増加による水需要の増加に応じるために作られました。1962年（昭和37年）には淀川水系が水資源開発促進法に従って開発水系に指定され、それに基づく大規模な開発計画が立てられました。

1971年（昭和46年）には新たな治水対策のため「淀川水系工事実施基本計画」が策定され、布目ダムもその一環として新規に計画されました。最終的には、1975年（昭和50年）から実施計画調査が開始され、1980年（昭和55年）には住民への補償交渉が行われました。補償交渉が妥結した後、1991年（平成3年）にダムが完成しました。

ダムの設計と機能

布目ダムは重力式コンクリートダムとして設計されており、その高さは72.0メートルです。ダムの右岸には、貯水位を維持するためのロックフィルダムが設置されていますが、これらは直接連結してはいません。このダムは洪水調整や農業用水の供給、さらには奈良市への上水道といった多目的な機能を有しています。

布目湖とその周辺

ダムによって形成された布目湖は、特に関西地方においてブラックバスやヘラブナ、ワカサギの釣り場として人気です。また、湖沿いの道路は自転車競技やマラソンのトレーニングに適しており、毎年12月の第2週には「やまぞえ布目ダムマラソン大会」が開催されます。この大会には様々な距離の種目があり、多くの参加者が集まります。

さらに、布目ダムは「ツアー・オブ・ジャパン」という自転車ロードレースのコースとしても利用され、年々多くの観客を魅了しています。周辺には後醍醐天皇が潜幸した歴史的な笠置山や美しい月ヶ瀬梅林、剣豪の里として知られる柳生の村もあり、自然や文化を楽しむことができる場所です。

アクセスと注意事項

布目ダムへのアクセスは、いくつかの経路があります。国道163号や阪奈道路から主要な府県道を利用する方法が一般的です。また、公共交通機関を利用する場合はJR関西本線の笠置駅や近鉄奈良線の近鉄奈良駅が便利です。なお、周辺の奈良県道25号線は特定の条件のもとで二輪車の通行が禁止されていますので、訪れる際には注意が必要です。

まとめ

布目ダムは、単に水資源管理のためだけでなく、地域の人々にとっても大切な自然環境と活動の場を提供しています。その歴史的な背景、設計、周辺の観光地など、多岐にわたる魅力を持っています。また、地域との関わりを大切にした取り組みも行われており、訪問する人々に新たな発見と感動を提供しています。ダムを通じて、自然と人のつながりを再確認できる場所と言えるでしょう。

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