常世岐姫神社

常世岐姫神社について

常世岐姫神社（とこよきひめじんじゃ）は、大阪府八尾市神宮寺に位置し、古くから地域の信仰を集めてきた神社です。この神社は、燕王公孫淵を祖とする常世氏が祀る常世岐姫神を奉るもので、全国に同名の神社が存在します。大阪にある本宮の他、分社は埼玉県にも複数確認されていますが、特に行田市の「荒木常世岐姫神社」が有名です。

神社の由来

この神社は、古代の『延喜式神名帳』にも記録されている式内社であり、河内国大県郡神宮寺村に属しています。創建時期は不明ですが、名称に関しては明治時代以降のものとされ、それ以前は「八王子神社」として知られました。現在でも、多くの地図や看板は旧名称を使用しており、地元の人々に親しまれています。

祭神

祭神として祀られているのは常世岐姫命（とこよきひめのみこと）であり、常世氏の祖神とされていることから、地域の伝承の中で重要な位置を占めています。現代では、安産の神としても広く知られ、特に子宝に恵まれたいと願う女性たちが訪れます。

歴史的背景

常世岐姫神社が位置する八尾市一帯は、古代に帰化した技術者集団によって染色業が発展した地域で、特に茜染めが有名でした。赤染氏という一族が、地元の染色技術を管理し、鎌倉時代には「河内国藍御作手奉行」に任じられることになります。赤染氏は、壬申の乱で活躍した歴史も持ち、地域の重要な存在として位置づけられています。

神社の起源を辿ると、宝亀8年（777年）に常世連という姓を与えられた赤染人足が地域に関わっていた史実があり、彼らの子孫がこの神社を建立したのではないかとも考えられています。また、常世氏が神社を創建した理由は、彼らの祖神を祀ることによって、自らの繁栄や地域の発展を願ったためとされています。

近世の状況

近世においては、神宮寺村は近隣の恩智村とともに恩智神社の氏地として知られていました。ここでは牛頭天王が勧請され、八王子社と呼ばれるようになった背景には、牛頭天王の8柱の御子神に由来しています。さらに、『河内名所図会』では、「今、八王子と称する」と記されており、地域における信仰の変遷を示唆しています。

アクセス

常世岐姫神社へは、近鉄大阪線の恩智駅から東へ約500メートル進み、国道170号線の旧道を南に800メートル進むと到着します。山側へ少し進むと神社が見えてきますが、駐車場はないため、公共交通機関の利用が推奨されます。

結び

常世岐姫神社は、長い歴史を持つ神社であり、地域の人々に深く根付いた信仰の象徴です。訪れる人々は、静かな環境の中で心を落ち着け、この神社が育んできた文化や伝統に触れることができるでしょう。

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