常磐急行交通

常磐急行交通株式会社について

常磐急行交通株式会社（じょうばんきゅうこうこうつう）は、1960年代から1970年代に活動していた日本のバス事業者です。この会社は、沿線地域でバス路線を運営していた6つの企業、すなわち京成電鉄、東武鉄道、常総筑波鉄道、鹿島参宮鉄道、茨城交通、日立電鉄の共同出資により設立されました。特に、東京都心から旧国道6号を経由して茨城県の水戸市や日立市を結ぶ急行バスの運行を目的としていました。

設立と運行開始

常磐急行交通は1962年11月に設立され、その1ヶ月後の12月1日には初めての運行を開始しました。設立当初は、常磐自動車道が未開通であったため、全て一般道を経由して運行されていました。これにより、国鉄常磐線の普通列車よりも所要時間が長く、特に東京寄りの区間では頻繁に渋滞に巻き込まれることがありました。そのため、利用者が伸び悩み、1977年には路線が廃止されることになります。次いで、1978年の3月には会社自体が解散し、廃業しました。

出資企業と競争

設立時の出資会社は、各社ともに茨城県内での輸送網拡大を目指していました。京成電鉄と東武鉄道は、東京都・千葉県エリアにとどまらず、茨城県内への進出を狙って競争を繰り広げました。特に、鹿島参宮鉄道は京成の傘下に入ることが決まり、常総筑波鉄道も競争の結果、京成の傘下に統合されました。1965年に両社が合併して関東鉄道に名前を変え、バス業界での存在感を強めました。

一方、東武は茨城県の西部から水戸へと路線を延ばし、1965年には水戸市の近隣にある笠間市営バスを買収し、さらには朝日自動車や茨城急行自動車を傘下に持つようになりました。

廃止された路線

常磐急行の主な路線は、新橋から水戸駅前を経由し日立へ向かうもので、1962年8月6日に免許を受け、同年の12月1日に運行を開始しました。この路線は所要時間が約3時間30分から4時間とされていましたが、実際には大幅な遅延が発生し、結果として定時運行は難しい状況でした。そのため、一日8往復の運行が次第に減便され、最終的には1977年に廃止に至りました。

廃止された路線では、車掌が乗務するスタイルが最初に採用されていましたが、その後は運転士一人での運行に変更されました。また、所要時間が極めて長いため、途中の隅田公園入口や取手、土浦などの停留所で休憩を挟むことがありました。新橋駅前においては、乗車券の販売も行っていたと言われています。

その後の状況

常磐自動車道が開通し、高速バスの運行が始まると、東京と水戸間や日立間の運行が開始され、便数も増えていきました。このように、高速バスは独自の会社を設立することなく、各社共同による運行を行い、常磐急行バスとは異なる有利な展開を見せていきました。

結論

常磐急行交通株式会社は、設立から短期間で運行を開始し、地域の交通を支えましたが、その運営は長続きしませんでした。現在では、その名残を探ることは難しくなっていますが、当時の交通事情や企業間の競争は、今のバス業界に影響を与えた歴史の一部として残っています。

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