幡多廃寺塔跡

幡多廃寺塔跡について

幡多廃寺塔跡（はたはいじとうあと）は、岡山県岡山市中区赤田に位置する仏教寺院の遺跡です。この場所は国の史跡に指定されており、古代吉備の文化を感じる貴重な場所でもあります。

概要

この塔跡は、特に岡山県内で最大の塔心礎が一つ露出していることで知られています。塔心礎の中心部には六角形の浅いくぼみがあり、ここに柱が立てられました。また、深い穴には仏舎利が納められていたことが確認されています。この礎石の表面には被熱痕が見られ、火災によって塔が焼亡した可能性が示唆されています。

幡多廃寺の歴史

幡多廃寺は、古代の吉備地方で権力を誇っていた上道氏によって建立された寺院の一つと考えられています。周囲には備前国府跡や賞田廃寺跡が存在し、この地域一帯は古墳時代から奈良時代にかけての古代吉備の中心的な場所であったことが確認されています。

寺院の歴史は、出土した瓦から推測されるもので、7世紀後半に飛鳥時代に創建されたとされています。その後、奈良時代にはその規模や活動が最盛期に達し、平安時代後期の11世紀前半には廃寺となったことがわかっています。

発掘調査と出土品

1972年から1973年の間に発掘調査が行われ、金堂や塔の基壇、回廊、築地、さらに南大門や中門、北門などが確認されました。この調査を通じて、寺院の規模は1町四方（約110平方メートル）よりも大きかったことが明らかになりましたが、具体的な伽藍の配置については未だ不明のままです。

さらには塔跡周辺からは凝灰岩が出土しており、賞田廃寺と同様に凝灰岩壇正積基壇が構築されていたと考えられています。このような基壇は畿内の大型寺院で見られるものであり、地方寺院には珍しいものです。これにより、中央政権との強い関係が窺えます。

さらに、多くの瓦や奈良三彩と呼ばれる陶磁器、円面硯、土器なども発掘されており、当時の文化や生活様式を知る上で重要な資料となっています。

まとめ

幡多廃寺塔跡は、古代吉備の歴史を物語る重要な施設であり、昭和19年に国の史跡に指定されました。この遺跡は、訪れる人々にその魅力を伝え続けることは間違いありません。文化的な財産を保ちつつ、今後もさらなる研究が期待されます。

アクセス

幡多廃寺塔跡へは、JR山陽本線の高島駅で下車後、南東方向に徒歩で約5分の距離です。

参考文献

• - 湊哲夫・亀田修一編、近藤義郎編集協力 『吉備の古代寺院 -吉備考古ライブラリィ13-』 吉備人出版 (2002年)
• - 現地説明板（岡山市教育委員会設置）

関連情報

• - [中国地方の史跡一覧]]
• - [国指定文化財等データベース

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