幡随院

幡随院（ばんずいいん）

東京都小金井市にある浄土宗系の単立寺院で、山号を神田山、寺号を新知恩寺と称します。本尊は阿弥陀如来です。江戸時代初期に徳川家康によって創建され、関東十八檀林の一つとして隆盛を誇りましたが、度重なる火災に見舞われ、現在の地に移転しました。

歴史

創建

1603年、徳川家康が浄土宗の僧侶である幡随意を招聘し、江戸の神田に創建されたのが始まりです。家康は寺の建立のために白銀10貫目、嫡男の秀忠も米300俵を寄進し、神田山新知恩院という寺号を与えました。さらに、徳川家の祈願所として定め、1610年には浄土宗の檀林が置かれ、多くの高僧を輩出しました。幡随意は1611年に引退し、随意巖上人が2世住持となりました。

度重なる焼失と再建

1617年、神田川の開削工事のため、下谷池之端に移転しました。この時、壮大な本堂と40以上の学寮を備えましたが、1657年の明暦の大火で全て焼失してしまいました。1659年には浅草神吉町に移転し再建、8259坪の広大な境内を持ちました。1675年には徳川家綱から朱印地50石を与えられ、「幡随院」の院号を定められたと伝えられています。

その後も、1682年のお七火事、1698年の勅額火事と度重なる火災に見舞われました。1701年には桂昌院の援助によって本堂と開山堂が再建され、参詣者で賑わうようになりました。1750年には了碩和尚が紫衣を着用することを許されました。1792年の目黒行人坂火事でも類焼しましたが、関通上人らの尽力で再建を果たしました。しかし、その後も火災が相次ぎ、寺勢は衰退し、最盛期には48あった学寮も1818年には9つにまで減少しました。

近代以降

明治維新後、寺社地は全て官有地となり、幡随院も「寺院明細簿」を提出しました。当時、30体の仏像が安置され、1685.28坪の境外民有地を有していましたが、再下付されたのは境内地のみでした。1923年の関東大震災で再び焼失し、再建したものの1937年に自火で焼失。1940年に現在の小金井市に移転しました。現在の堂宇は、1944年に52世禮堂和尚によって建立されたものです。1962年には浄土宗から独立し、単立寺院となりました。

現在の堂宇

現在の幡随院は、北側の丘の上に奈良の唐招提寺をイメージして建てられた阿弥陀堂と開山堂、麓に方丈を備えています。墓地はありません。かつての学寮の伝統を継ぐ白道寮を設置していましたが、経済的な理由で現在は中断しています。

所在地

東京都小金井市前原町3-37-1

最寄りの駅は、JR中央線・武蔵小金井駅です。

参考文献

『神田山新知恩寺幡随院』（同寺発行小冊子）

関連項目

関東十八檀林
* 幡随院長兵衛

もう一度検索