平井龍

平井龍（ひらい とおる）

平井龍は、1926年1月3日に生まれ、2008年2月17日に亡くなった日本の政治家です。山口県柳井市出身で、山口県知事を5期にわたり務めました。その功績から従三位勲一等に叙されています。

経歴

平井龍は、山口県立柳井中学校を卒業後、旧制山口高等学校を経て、1948年に東京帝国大学法学部を卒業しました。卒業後は総理庁に入庁し、官房自治課に配属されました。その後、自治庁長官秘書官、愛媛県地方課長、大分県財政課長、静岡県財政課長などを歴任し、厚生省にも出向しました。

1963年には自治省財政局調査課長、1964年には自治省税務局市町村税課長に就任。1965年には山口県総務部長として地元に貢献しました。1974年には山口県副知事に就任し、県政を支えました。

1976年、自由民主党公認で山口県知事に初当選。革新系の無所属候補を破り、その後、無所属で4回再選を果たし、合計5期20年間、山口県知事を務めました。

1996年8月21日に任期満了で退任。後任には同じ自治省出身の二井関成が選出されました。二井の立候補は、平井が知事選への再出馬を模索していたため、平井の意向に反するものだったとされています。

1999年には勲一等瑞宝章を受章。2008年2月17日、呼吸不全のため山口県立総合医療センターで死去しました。享年82歳。

政策

平井龍は、山口県内8つの広域生活圏の地域づくりを重視し、『オクトピア構想』を推進しました。この構想は、各地域の発展を県全体の振興に結び付けようとするもので、特に山口・防府、周南、宇部・小野田、下関の4つの圏域では、中核都市の形成を目指しました。

また、地域間の交流と連携を促進するために、『県土一時間構想』と『高度情報通信全県ネットワーク構想』を掲げ、道路交通網や情報通信網などのインフラ整備を積極的に進めました。これらの政策は、県内各地のアクセス向上と情報格差の是正に貢献しました。

さらに、山口朝日放送の開局にも尽力し、県民への情報発信の多様化に貢献しました。

主な業績

平井龍の知事在任中には、数々の重要な事業が実現しました。以下に主なものを列挙します。

1980年：山口県立美術館開館、パークロード（県道203号）開通
1982年：中国・山東省と友好協定調印
1984年：新県庁舎完成、旧県庁舎が旧県会議事堂とともに文化財指定
1985年：山口県政資料館開館
1986年：錦川清流線が第三セクター鉄道として開業
1987年：韓国・慶尚南道と姉妹提携調印
1989年：ショートステイ利用券制度を先駆的に導入
1992年：周防大橋完成、萩有料道路開通
1993年：山口県総合交通センター竣工
1994年：山口県民文化ホールいわくに（シンフォニア岩国）、山口県国際総合センター（海峡メッセ下関）、山口県立萩美術館・浦上記念館の着工
1995年：山口県セミナーパーク竣工

これらの業績は、文化振興、地域交通の改善、国際交流の促進に大きく貢献しました。

著書

平井龍は、その政策理念や県政運営に関する著書も発表しています。

『自立・参加・連帯』（ぎょうせい、1985年）
『新　自立・参加・連帯』（ぎょうせい、1995年）

これらの著書は、平井龍の政治哲学と県政に対するビジョンを理解する上で重要な資料となっています。

関連事項

山口県知事一覧

平井龍は、5期20年という長期にわたり山口県知事を務め、その間、地域振興、インフラ整備、文化振興、国際交流など、多岐にわたる分野で山口県の発展に大きく貢献しました。彼の功績は、今日の山口県の礎となっています。

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