平和列車

平和列車（DMZ-train）

平和列車、またはDMZ-trainは、かつて韓国鉄道公社（KORAIL）によって運行されていた特別な観光列車であり、主に非武装地帯（DMZ）周辺を走ることからこの名が付けられました。この列車は、南北分断の象徴である軍事境界線に近いエリアを通り、観光客に特別な体験を提供していました。残念ながら、2019年から全便が運休状態となり、最終的には運行を終了しました。

概要

平和列車は、韓国鉄道9501系気動車を改造したもので、2013年から本格的な改造が始まりました。初めは同年の10月から運行を開始する計画でしたが、業者選定の難航やストライキの影響で、運行開始は2014年の5月4日に遅れました。3両編成での運行が始まり、料金は特急グリーン車と同等のセマウル号特室料金が適用されました。

沿線には、平和を象徴するデザインが施されており、先頭車両には蒸気機関車を象徴する「鉄馬は走りたい」の文字が描かれ、中間車と南側の先頭車両には、仲良く手をつなぎ合う東西の男女が赤と青の衣装で描かれていました。

歴史

平和列車の歴史は2013年に始まります。その年、列車の開発計画が策定されましたが、実際の運行は様々な障害が続きました。予定していた2013年の10月には運行を開始できず、最終的に2014年の5月にようやく運行が開始されました。同年の8月には、京元線の運行も加わる形でソウル駅から白馬高地駅までの路線が開通しました。

その後、運行ルートは変更され、2016年には龍山駅を起点とするなど改編を重ねました。2017年には、運行停車駅の見直しがされ、2019年には京元線の運行を全区間で休止せざるを得なくなりました。

最終的に2023年12月28日、使用していた9501系気動車の老朽化が進んだため、平和列車は廃止されました。これにより、非武装地帯近くを訪れる観光の道がまた一つ消失しました。

運行ルートと料金

平和列車は主に2つの路線を運行していました。京義線と京元線の二つのルートに沿って走り、多くの観光客を迎え入れました。停車駅は龍山駅、ソウル駅、汶山駅、臨津江駅、都羅山駅などがあり、特に都羅山駅は民間人出入統制区域内に位置していたため、入境手続が必要でした。これらの駅は観光客にとって特別な意味を持っていました。

運賃に関しては、ナドゥリパスやDMZ Passなどの観光用パスがあり、様々なコースや期間に応じた料金体制が設けられていました。DMZ Passについては、当日限りの利用が可能で、観光名所との連携特典もありました。特に、ソウルから都羅山や白馬高地へ行く際には、身分証明書の提示が求められるなど、特別な手続きも必要でした。

このように平和列車は、単なる交通手段ではなく、南北分断の歴史を背景にした特別な体験を提供する存在でした。運行停止後も、その理念や理念を引き継ぐ他の観光プロジェクトへと影響を与えていることでしょう。

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