平和大学

国連平和大学 (United Nations University for Peace)

国連平和大学は、1980年に国際連合総会の決議に基づいて設立された国際連合の研究機関です。この大学は、人類全体の間に「理解、寛容、平和共存」という理念を広げることを目的とし、平和に関する高等教育を提供するために設立されました。本部はコスタリカの首都サンホセから西に20kmのシウダード・コロンに所在し、周囲は平和公園や森林公園に囲まれ、実質的な自然の中で教育が行われています。

コスタリカは軍隊を持たない国として有名であり、この背景により平和大学の本部はこの国に置かれることが決定されました。ちなみに、同じく軍隊を持たない日本には国際連合大学が設立されています。

組織と教育プログラム

国連平和大学は、国連関連の大学院大学として位置づけられており、国際法や安全保障などに関する研究や実践を通じて、国際的な平和構築や地域紛争の防止・解決に寄与する専門的な人材を育成しています。

コスタリカ本部キャンパスでは、さまざまな修士課程が提供されており、主に以下の分野に焦点を当てています：国際法及び人権、国際法と紛争調停、ジェンダーと平和構築、国際平和研究、平和教育、環境安全保障、天然資源安全保障、メディアと紛争などです。また、アメリカン大学の国際関係学部と協力して、天然資源と持続可能な開発に関する共同修士プログラムも開講されており、2年間の課程を経た後には、両大学から修士号を授与されます。

さらに、マニラのアテネオ・デ・マニラ大学と提携し、国際平和研究に関する同様の修士課程も提供しています。2007年時点では、37カ国から124人の学生が在籍し、授業は英語で行われているため、国際的な多様性をもった学習環境が整っています。

本部キャンパス以外にも、ジュネーヴとニューヨークには分校があり、アフリカ地域事務所をアディスアベバに、ラテンアメリカ・カリブ海地域事務所をコスタリカに置くなど、世界各地にネットワークを広げています。また、アジア・太平洋地域や中央アジア地域へのさらなる拠点設置も検討されています。

この大学は、国連総会が承認した独自の憲章に基づいて運営されており、国連内部の規則の影響を受けず、独自の評議会により指導されています。これにより、迅速に行動し、学問と研究の自由を確保しつつ、様々な文化的視点からのアプローチで紛争の根本的原因を探求することが可能になっています。また、平和大学の名誉学長は国際連合事務総長が務めることになっています。

活動と将来の展望

平和大学の広範な活動は、国連が掲げる世界の平和と安全の目標に基づいています。特に、平和と発展の基礎を築くこと、暴力や紛争、テロリズムの根源となる偏見や憎悪を取り除くための人権教育や多様性の尊重が、ますます重要視されています。

平和大学の運営資金は、大学の使命に賛同するさまざまな政府や財団、組織からの支援によって賄われています。将来的には、コスタリカ本部の指導のもと、他国の大学や非政府組織と協力し、平和に関する研究や教育の分校やセンターを設立し、国際的なネットワークを形成していくことが展望されています。これにより、世界各地での平和の実現に向けた新たな貢献が期待されています。

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