平壌放送

平壌放送（Pyongyang Broadcasting Station）

平壌放送は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の国営放送局であり、かつては朝鮮中央放送委員会が製作する海外向けのラジオ放送（国際放送）でした。2022年1月現在、朝鮮語による放送のみが「平壌放送」として知られています。

概要

平壌放送は、朝鮮語のみを使用した海外向け放送で、他の外国語放送は2001年に「朝鮮の声放送（Voice of Korea）」に改称されました。北朝鮮の一般住民は、この放送に接することはできません。これは、内部向けメディアである朝鮮中央通信や朝鮮中央テレビ、労働新聞などとは異なります。

歴史

平壌放送の歴史は、1945年10月14日に平壌放送局（朝鮮中央放送の前身）が放送を再開した時に始まりました。当初は対南（韓国・南朝鮮）向けの放送でしたが、1951年1月1日に朝鮮語の海外向け放送として正式に開始されました。1955年10月14日には組織が改編され、国内向け放送とは別系統になりました。

1967年12月には「朝鮮中央第2放送」と改称されましたが、1972年11月10日に海外向け放送として組織が分離された際に「平壌放送」と再び改称されました。韓国放送公社（KBS）の韓民族放送と同様に、近隣諸国での受信を目的とした朝鮮語放送でした。

2013年2月1日には、平壌放送の公式ウェブサイト「民族大団結」が開設されましたが、2024年1月12日21時過ぎ（平壌時間＝UTC+9）に放送を終了しました。

放送内容

放送内容は、ニュース、音楽、労働新聞の論評、政治宣伝番組、小説の朗読番組などで、朝鮮中央放送とほぼ同じ内容でした。主な聴取対象は、韓国在住の同胞や在日朝鮮人でした。放送時間は、平壌時間05:30から06:00の30分間を除き、ほぼ終日にわたって放送されていました。ただし、周波数によっては04:00で放送が終了していました。

放送開始前のインターバル・シグナル（IS）は、「金日成将軍の歌」の冒頭メロディーを電子オルガンで演奏したものでした。続いて、北朝鮮の愛国歌、スローガン、「金日成将軍の歌」と「金正日将軍の歌」が流れていました。

過去には、金日成放送大学が毎日夜に放送されていましたが、2004年に終了し、インターネットでの講義に移行しました。その後、2009年4月に放送が復活しました。

放送時間・周波数

2023年6月時点での情報では、複数の周波数で放送が行われていました。621kHzは、朝鮮の声放送の日本語放送枠と時間外で共用されていました。

目的

平壌放送は、対南（韓国）向け、近隣諸国にいる朝鮮人向け、そして工作員向けの放送として位置づけられていました。かつては、工作員への指令がこの放送で行われていたとされています。乱数放送が終了した後も、選曲順が暗号になっているという指摘がありました。

韓国政府は、韓国在住者が平壌放送を聴取できないようにジャミング（妨害電波）を発信していました。韓国国内での聴取自体は禁止されていませんが、内容を公衆に拡散することは国家保安法で処罰される可能性があります。

乱数放送

平壌放送は、乱数放送と呼ばれる暗号電文を読み上げる放送を行っており、工作員への指令を伝達していたとされています。乱数表は水溶紙が使用され、機密性が保たれていましたが、過去に韓国などで発見・押収されています。

乱数放送は2000年に一旦終了しましたが、2016年に16年ぶりに再開しました。2020年からはYouTubeを利用した乱数放送も開始されています。

脚注

特になし

関連項目

朝鮮中央放送
朝鮮の声放送
平壌FM放送
統一のこだま放送

外部リンク

* 민족대단결（朝鮮語）

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