インターバル・シグナル

インターバルシグナルとは

インターバルシグナル（IS）は、ラジオ放送局が放送開始前や番組の合間に流す、放送局を識別するための音楽や音響のことです。これは、単なるオープニングやエンディング音楽とは異なり、放送局の個性を表す重要な役割を担っています。

歴史的背景

初期のラジオでは、周波数を正確に読み取ることが難しかったため、インターバルシグナルは放送開始前のチューニング（周波数合わせ）を助ける目的で導入されました。特に複数の周波数を使用する国際放送では、インターバルシグナルを受信することで、最適な周波数を選択する目安とすることができました。現代では、PLLシンセサイザによる周波数直読が可能なラジオが普及しましたが、混信時でも放送局を識別できるため、インターバルシグナルは依然として重要な役割を果たしています。

特徴

インターバルシグナルは、一定の間隔で短い音楽や音響が繰り返し流されることが一般的です。多くの場合、国歌や民族音楽の一部、鐘の音など、放送局やその国を特徴づける要素が用いられます。また、局名アナウンスが挿入されることもあります。

国際放送局では、電離層の状態や時間帯によって周波数を頻繁に変更するため、インターバルシグナルは特に重要です。各放送局が独自のシグナルを持つことで、受信者はどの局を受信しているかをすぐに判別できます。

代表的なインターバルシグナル

世界各国の放送局では、以下のような様々なインターバルシグナルが使用されています。

BBC World Service：ロンドンのセント・メアリー・ラ・ボウ教会の鐘の音（Bow Bells）。
ラジオ・カナダ・インターナショナル：「カナダ国歌」の冒頭1小節（ピアノ演奏）。
ラジオ・オーストラリア：「ワルチング・マチルダ」のエンドレス編集版。
バチカン放送：賛美歌「Christus Vincit」のオーケストラ演奏。
ロシアの声：組曲「展覧会の絵」より「キエフの大門」の冒頭。
中国国際放送：「義勇軍進行曲」冒頭2小節
中央人民広播電台：「義勇軍進行曲」冒頭2小節（国際放送のものより音程が高い）
朝鮮の声放送、朝鮮中央放送、平壌放送、朝鮮中央テレビ：「金日成将軍の歌」の冒頭2小節。
ボイス・オブ・アメリカ：「ヤンキードゥードゥル」。
ドイチェ・ヴェレ：ベートーヴェンの歌劇フィデリオの一節。
アンデスの声：「さくらさくら」。
しおかぜ：「故郷」。

宗教系のラジオ局では、賛美歌や聖歌の一節、梵鐘の音などが用いられることが多いです。

日本のインターバルシグナル

日本のラジオ局でも、独自のインターバルシグナルが使用されています。

NHK：
ラジオ第2の開始前と終了後には、チェレスタによる開始音楽と終了音楽が放送されます。かつてはラジオ第1やFMでも使用されていましたが、現在は放送休止後の開始時のみとなっています。
NHKワールド・ラジオ日本では、「数え歌変奏曲」の電子オルゴール演奏が使用されています。以前は日本語と英語、フランス語のアナウンスも流れていました。
日経ラジオ社短波放送（ラジオNIKKEI）：チューブラー・ベルと琴の合奏曲。
ABCラジオ：放送終了後に「きこうABC」がオルゴールで演奏されます。
ラジオ沖縄：放送開始前に琉球箏曲「六段」が演奏されます。
RBCiラジオ：放送開始前に琉球箏曲「瀧落菅撹」が演奏されます。
文化放送：かつてはチャイコフスキー「白鳥の湖」やドビュッシー「月の光」が使用されていましたが、現在はステーションソングが使用されています。
東海ラジオ：放送開始前にジョージ・ウィンストン「Cloudy This Morning」が流れます。
LuckyFM：放送開始時に「茨城県民の歌」が流れます。
ラジオ日本：放送開始前に「ペールギュント」第1組曲：朝が使用されている
TOKYO FM：放送開始前に「シュネルポルカ」が流れます。

オープニングテーマやエンディングテーマを代用している例

一部の放送局では、社歌や放送局のイメージソング、オープニングテーマやエンディングテーマをインターバルシグナルの代わりに用いていることがあります。

文化放送、TBSラジオ、MBSラジオ、ラジオ大阪、東海ラジオ、南海放送、琉球放送など：社歌や放送局のイメージソング
ニッポン放送：ジョニー・ピアソン作曲「朝もやの渚」。
IBCラジオ：クロージング曲に「蒼いノクターン」、オープニング曲に「薔薇色のメヌエット」。
YBCラジオ：放送開始時にマーチングバンドの演奏、終了時にハワイアンソングの演奏。
HBCラジオ：伊福部昭作曲「ウポポ」。
STVラジオ：ジョルジュ・ジューバン作曲「マリアの丘」。
BAYFM：「Love our bay, BayFM78」のキャッチフレーズが入る曲。
TOKYO FM：マントヴァーニオーケストラ「歌は終わりぬ」。
* J-WAVE：リチャード・バーマー作曲「Across The View」

その他

インターバルシグナルの名称は、『World Radio TV Handbook』にも掲載されています。

まとめ

インターバルシグナルは、ラジオ放送局の識別だけでなく、放送の開始を告げ、聴取者を放送の世界に誘う重要な役割を果たしています。その多様な音楽や音響は、放送局の個性を豊かに表現し、ラジオ文化の一翼を担っています。

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