平岩元重

平岩元重の生涯

平岩元重（ひらいわ もとしげ）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した日本の武将であり、尾張国において重要な役割を果たした。彼は主に松平家家臣として活動し、徳川家康にも仕官したことで知られている。元重の通称は権太夫であり、出身は三河国碧海郡の平田庄に位置する坂戸城を有する平岩氏である。

幼少期と出自

元重の父である平岩張元は弓術の名手として知られ、松平の忠臣に仕官していた。元重はその後、三州青野城主であった松平忠茂に仕官し、彼の軍における数多くの戦いに参加することとなった。

三河期の軍歴

弘治2年（1556年）、元重は忠茂の指揮下で日近城の戦いに参加した。この戦いでは、忠茂が討たれるという悲劇が生じる中、元重は仲間と共に忠茂を肩に負い退却を試みた。忠茂の死後、元重は新たに松井忠次に仕官し、その後の戦いでも数々の戦功を挙げる。

例えば、永禄3年（1560年）の桶狭間の戦いでは、元重は徳川家康に従い、義元の死後に戦況を判断するため出動した。彼の報告により、家康は岡崎城へ進軍することを決めた。また、永禄6年（1563年）における三河一向一揆鎮圧戦では、家忠に従い敵の首を持ち帰ることに成功し、これが功績として評価された。

浜松時代の活躍

元亀3年（1572年）の三方ヶ原の戦いでは、元重は家忠を助けつつ、数に追われながらも退却を果たした。彼は家康が浜松に拠っている際、多くの重要な戦闘に参加し、さらに天正3年（1575年）には長篠の戦いにおいても武田軍に対する攻撃を成功させた。元重はその勇敢な行動によって家康からも厚い信頼を得た。

徳川家康の関東移封

しかし、天正18年（1590年）、家康が関東へ移封される際、元重は三河を離れることを嫌って留守居として残ることを選択した。この判断が家康の不快感を買い、彼は一時改易の憂き目に遭った。しかし、元重の功績を考慮された結果、後に松平忠吉に仕官することが許可された。

晩年と死

結局、元重は天正20年（1592年）には忠吉に仕官し、以後清洲城で留守居役として勤めることになった。その後も忠吉の死後は新たな主人として徳川義直に仕官したが、元重は1619年8月13日に名古屋にて86歳で亡くなった。彼の生涯は、戦国の乱世における個人の忠義や武勇を色濃く反映している。

家族について

元重には4人の息子と6人の娘があり、子女たちは各々の家に嫁ぐなどして平岩氏の名を引き継いだ。特に長男の元吉は松平家に仕官し、後に家康のもとでも活躍している。

平岩元重の存在は、戦国時代を生き抜いた武将の中でも特に注目されるものであり、彼の忠誠心や勇気は今も多くの人々の心に刻まれている。

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