平岩愃保

平岩愃保：信仰と教育に捧げた生涯

平岩愃保（ひらいわ よしやす）は、安政3年（1857年）に江戸で生まれ、昭和8年（1933年）に没した、日本のキリスト教界における重要な指導者の一人です。彼は牧師として、また教育者として、日本のキリスト教の発展に大きく貢献しました。

生い立ちとキリスト教との出会い

平岩は、幕臣の家に生まれました。幼少期から学問に励み、東京府立洋学校や開成学校で理化学を学びました。キリスト教との出会いは、開成学校の教師であったE・W・クラークの家で開かれた聖書講義に参加したことがきっかけでした。そこでジョージ・カクラン宣教師の教えに感銘を受け、キリスト教に惹かれるようになります。明治8年（1875年）には、中村正直の家でカクランから洗礼を受け、キリスト教徒となりました。

牧師としての歩み

明治9年（1876年）に開成学校を休学し、メソジストの教職試補に選任されます。その後、各地の教会で牧師として奉仕しました。牛込教会（現：頌栄教会）の初代牧師、下谷教会、甲府教会などを経て、明治17年（1884年）には静岡教会の4代目牧師に就任しました。静岡教会では、教会活動の発展に尽力する傍ら、教育活動にも力を注ぎました。

教育者としての貢献

平岩愃保は、教育者としても卓越した才能を発揮しました。明治17年（1884年）には、東洋英和女学校の設立に尽力し、2代目校主として学校の発展に貢献しました。また、明治20年（1887年）には、静岡女学校（現：静岡英和女学院）を創立し、女子教育の普及に尽力しました。これらの学校を通じて、多くの女性たちがキリスト教精神に基づいた教育を受け、社会で活躍するための基礎を築きました。

日本メソジスト教会の指導者として

平岩は、日本のメソジスト教会における指導者としても重要な役割を果たしました。明治40年（1907年）には、メソジスト監督教会、カナダ・メソジスト教会、アメリカ南メソヂスト監督教会の三派合同が行われ、日本メソヂスト教会が設立されると、初代伝道局長に就任しました。明治45年（1912年）には、第2代監督に選出され、教会の発展に尽力しました。

関西学院院長時代

明治44年（1911年）には、関西学院の院長に選出され、教育者として新たな舞台で活躍しました。関西学院では、学生たちの人格形成に力を注ぎ、社会に貢献できる人材の育成に尽力しました。

晩年

監督退任後は、東京都阿佐ヶ谷に移り住み、自宅で集会を開きました。これが後の日本キリスト教団阿佐ヶ谷教会となります。また、月刊雑誌『イエス之友』を刊行し、キリスト教の教えを広めました。昭和8年（1933年）に永眠するまで、平岩愃保は信仰と教育に生涯を捧げました。

平岩愃保の生涯は、日本のキリスト教の発展と、女子教育の普及に大きく貢献したものであり、彼の功績は今日においても高く評価されています。

もう一度検索