平成18年台風第13号

平成18年台風第13号（アジア名：サンサン）の詳細

2006年9月に発生した台風13号は、九州地方を中心に甚大な被害をもたらした台風です。この台風は、フィリピン南東沖で発生し、アジア名「サンサン」と命名されました。香港が命名国で、少女の名前に由来します。フィリピンでは「ルイス」と呼ばれています。

台風の経過

9月10日に発生した台風は、発達しながら北西に進み、16日には中心気圧919hPa、最大風速55m/sという猛烈な勢力に達しました。石垣島付近を通過後、進路を北東に変え、九州に接近しました。17日には、強い勢力を保ったまま長崎県佐世保市付近に上陸し、その後、福岡県福岡市付近から日本海へ抜けました。日本海を北上後、温帯低気圧に変わりました。

大雨と突風

台風の影響で前線活動が活発化し、中国・九州地方に大雨をもたらしました。大分県佐伯市蒲江では1時間に122mmの雨量を観測しました。また、宮崎県延岡市では竜巻とみられる突風が発生し、大きな被害が発生しました。

気圧と風速の推移

台風は、発生から温帯低気圧に変わるまで、以下の経過をたどりました。

A - 発生
B - 暴風域発生
C - 佐世保に上陸
D - 暴風域消滅
E - 温帯低気圧に変わる

各地で記録的な風速が観測され、沖縄県西表島では最大瞬間風速69.9m/s、福岡市で49.0m/s、佐賀市で50.3m/s、長崎県野母崎では46m/sを記録しました。

被害状況

台風による被害は、沖縄県から九州地方にかけて広範囲に及び、保険金支払額は1,320億円に達しました。人的被害は死者9人、行方不明者1人、重傷者35人、軽傷者413人に及びました。住宅被害も全壊159棟、半壊514棟と大きな被害となりました。避難勧告は最大で107,625人に達しました。

農業被害

福岡県では集中豪雨による冠水被害が発生しました。満潮と強風が重なり、有明海沿岸では塩害が発生しました。米の作況指数は九州で過去最低の78となるなど、農業に深刻な影響を与えました。

停電

沖縄県、長崎県、佐賀県、福岡県を中心に最大で約80万世帯が停電し、復旧までに数日を要しました。

各地の詳細な被害

沖縄県: 石垣市で電柱の倒壊や停電、家屋の全半壊が発生。けが人も多数出ました。
宮崎県: 延岡市で竜巻が発生し、家屋の倒壊や3人の死亡者が出ました。また、JR日豊本線で特急列車が脱線し、乗客が負傷しました。
大分県: 臼杵市でダウンバーストによる突風で家屋が被害を受け、佐伯市ではフェリーが転覆し、乗組員が死亡しました。
長崎県: 三菱重工業長崎造船所のクレーンが倒壊し、工場に被害が出ました。長崎市では道路が崩壊し、亜熱帯植物園にも被害が出ました。また、広範囲で停電が発生し、ビワなどの農作物に塩害が発生しました。長崎県全体の米の作況指数は過去最低の68となりました。
佐賀県: 伊万里市で鉄砲水が発生し、3人が死亡しました。塩害により農業被害が甚大で、米の作況指数は過去最低の49となりました。
福岡県: 塩害による農業被害が発生し、米の作況指数は13年ぶりに低い76となりました。北九州港では貨物船が座礁しました。
広島県: 住宅被害や浸水被害が発生。また、消防団員が川に流され死亡、取材中の新聞記者が行方不明となりました。

参考情報

気象庁の災害時気象速報
デジタル台風の台風情報
NHK災害アーカイブスの台風情報
長崎新聞の台風記事

参考文献

国土交通省の台風13号による大雨に関する最終報告
総務省消防庁の台風13号と豪雨による被害状況

この台風は、九州地方に大きな爪痕を残し、その被害の甚大さから激甚災害に指定されました。

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