平成18年豪雪

平成18年豪雪：記録的豪雪と社会への影響

2005年12月から2006年2月にかけて日本列島を襲った平成18年豪雪（別名：ゼロロク豪雪、イチハチ豪雪）は、気象庁が昭和38年1月豪雪以来43年ぶりに命名した大規模な豪雪災害です。当初、気象庁は暖冬を予想していましたが、12月上旬から強い寒気が断続的に流れ込み、急速に発達する低気圧と重なって、日本各地で大雪、寒波、暴風をもたらしました。

豪雪の状況

この豪雪は、強い冬型の気圧配置が続いたことで、季節風が雪雲を山地まで運ぶ「山雪型」の特徴が顕著でした。北海道から北陸地方、山陰地方の山間部では、12月から2月にかけての降雪量と最深積雪量が平年を大幅に上回り、特に新潟県津南町では4メートルを超える積雪を記録するなど、各地で記録的な大雪となりました。一方、日本海側沿岸部では最深積雪は平年並みかやや上回る地域もありましたが、降雪量は平年並みか平年を下回る地域が多かったです。12月は日本海側山間部から内陸部、沿岸部の多くの地点で降雪量が平年を大きく上回ったものの、1月中旬以降は冬型の気圧配置が長続きせず、高温となる時期も多くなったためです。

驚くべきは、平年雪の少ない九州、四国、中国地方瀬戸内側、近畿、東海地方でも大雪となり、鹿児島市、高知市、広島市、名古屋市など主要都市でも記録的な積雪を観測しました。1月下旬には関東地方でも大雪となり、東京では5年ぶりの大雪となりました。

豪雪の原因

この豪雪の原因としては、北極振動の発生が挙げられます。北極と日本付近の気圧差が小さくなったことで、北極の寒気が南下しやすくなったのです。11月中旬頃からバイカル湖周辺に蓄積された強い寒気が放出され、偏西風の蛇行も相まって、日本列島に寒気が流れ込みやすくなりました。さらに、猛暑と暖秋で日本海の海水温が平年より2度近く上昇したことも、日本海側に多量の雪をもたらす一因と考えられています。ヨーロッパ北部でも大雪が観測されたことから、北極振動の影響が広く及んでいたことがわかります。

また、日本海の海水温上昇に加え、ラニーニャ現象、バレンツ海の海氷減少、メキシコ湾流の流軸変動なども、気圧配置の変化に影響を与え、寒気が流れ込みやすい状態を作ったと考えられています。

社会的影響と被害

平成時代は暖冬傾向が強まる中でのこの厳冬は、メディアで大きく取り上げられました。除雪用品や暖房器具の売り上げ増加によるGDP押し上げ効果もありましたが、多数の死傷者、自治体の財政圧迫、高齢化・過疎化問題の顕在化など、深刻な負の影響も残しました。特に、雪下ろし中の事故が死者の7割を占め、高齢者の体力低下が犠牲者を増やしたという指摘もあります。

具体的な被害としては、死者152名、重傷者902名、軽傷者1243名、家屋被害4667件、雪崩93件など、甚大な被害が発生しました。経済被害も大きく、第一次産業への被害額は約99億3400万円にのぼりました。

経過と対応

12月には大雪による大規模停電が発生し、JR羽越本線では脱線事故も起きました。1月には東北地方日本海側で交通機関がマヒし、各地で雪崩が発生。秋田新幹線は終日運休、災害救助法の適用地域も増えました。政府機関や地方公共団体は災害対策本部を設置、自衛隊は除雪作業などに派遣されました。また、多くのボランティア活動も展開されました。

まとめ

平成18年豪雪は、暖冬予想を覆す記録的な豪雪として、日本に大きな爪痕を残しました。その原因は複雑に絡み合い、北極振動を始めとする気候変動の影響、日本海の海水温上昇など、様々な要因が重なって発生した災害と言えるでしょう。この豪雪は、改めて自然災害の脅威と、高齢化社会における防災対策の重要性を浮き彫りにしました。

もう一度検索