平成19年台風第5号

平成19年台風第5号（アジア名：ウサギ）の記録

2007年7月、マリアナ諸島付近で発生した台風5号は、アジア名「ウサギ」と命名されました。この名称は日本が提案したもので、うさぎ座に由来します。台風は発達しながら北西に進み、一時は非常に強い勢力に達しました。その後、四国沖から豊後水道を北上し、8月2日には強い勢力を保ったまま宮崎県日向市付近に上陸しました。この台風が宮崎県北部に上陸するのは珍しい出来事でした。

台風の経路と勢力

台風は上陸後も勢力を維持し、大分県宇佐市付近から周防灘へ抜けましたが、同日中に山口県宇部市付近に再上陸しました。その後、暴風域は消滅したものの、台風は衰えることなく日本海へ進み、青森県津軽半島、下北半島にも再上陸しました。最終的に、下北半島の北東海上で熱帯低気圧に変わり、その後温帯低気圧へと変化しました。

暴風雨による被害

この台風は、同年の台風4号に続き日本に上陸し、各地に大雨と強風の被害をもたらしました。特に、九州と四国地方では記録的な降雨量を観測し、大分県豊後大野市温見では24時間雨量が431mmに達しました。また、愛媛県伊方町瀬戸では最大風速30m/sを観測、最大瞬間風速も宮崎県日南市油津で41.2m/sを記録するなど、非常に強い風が各地で観測されました。

被害の状況

人的被害としては、負傷者が30人に上り、うち重傷者は9人でした。住家被害も大きく、全壊2棟、半壊8棟、一部破損153棟が発生しました。また、床上浸水は146棟、床下浸水は491棟に及びました。最大時には33,630人に対して避難指示・勧告が出されました。

土砂災害も多数発生し、土石流2件、地すべり1件、がけ崩れ9件が確認されました。河川の氾濫も深刻で、山国川水系など3水系4河川で氾濫危険水位を超え、各地で浸水被害が発生しました。特に、台風接近と満潮時刻が重なった山口県瀬戸内側では、高潮による浸水被害が顕著でした。

ライフラインへの影響も大きく、関西、中国、四国、九州電力管内では延べ224,750戸が停電しました。上水道は、大分県と宮崎県で269戸が断水。電気通信関係では、宮崎県で約100回線の電話が不通となり、携帯電話基地局も一部で停波しました。

道路、鉄道網も寸断され、大分自動車道や国道、県道など77区間で通行規制が実施されました。鉄道は、JR四国で全線が一時運休となり、JR九州では夕方のラッシュアワーと重なったことで大きな影響が出ました。

公共土木施設や農林水産施設への被害も甚大で、河川562ヶ所、海岸9ヶ所、農地4,182ヶ所、農業用施設1,911ヶ所などが被害を受けました。文教施設や社会福祉施設でも被害が確認されています。

災害救助法の適用と激甚災害指定

この台風による被害を受け、宮崎県は日之影町に災害救助法を適用しました。さらに、政府は2007年9月14日に閣議決定を行い、この災害を激甚災害に指定しました。これにより、農地等の災害復旧事業への補助の特別措置が適用され、被災地の復興が支援されました。

外部リンク

日本上陸台風一覧 - ウェイバックマシン
台風による大雨・暴風被害状況について - 国土交通省
* デジタル台風：台風200705号（USAGI）- 総合情報（気圧・経路図） - 国立情報学研究所

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