平武綱

平武綱とは

平武綱（たいら の たけつな）は、平安時代後期に活躍した武将であり豪族です。彼は秩父氏（秩父平氏）の当主として、秩父別当職を務めていました。彼の父は平武基であり、平将門の玄孫でもあります。通称は武者十郎とも呼ばれ、後に河崎基家とも名乗られるようになりました。

略歴

平武綱は、歴史的な事件である前九年の役と後三年の役に参加し、源頼義および義家父子の軍に従って戦いました。特に、『延慶本平家物語』や『源威集』によると、前九年の役の際、永承6年（1051年）に武蔵国府中に滞在していた源頼義によって「奧先陣譜代ノ勇士」に選出され、白旗を授けられたということが記されています。

後三年の役（1083年から1087年）では、武綱は嫡子の重家と共に源義家の軍に約300騎を従えて最前線に立ち、勢揃坂から出陣しました。この時、彼は先陣を務め、仙北金沢の柵を攻略し、清原武衡を滅ぼす大功をあげました。その成果により、武綱は河崎土佐守基家という名を賜り、武蔵谷盛庄を与えられました。

さらに、義家はこの戦勝を、基家が信仰する八幡神の加護によるものと考え、基家が持つ妙見山の日月旗を求めました。そして、彼はこの月旗をもって八幡宮が勧請された場所が、現在の渋谷金王八幡宮に繋がっています。

武綱に由来する血筋としては、曾孫である畠山重忠、河越重頼、江戸重長、渋谷光重らが存在します。これらの武士たちは、源頼朝の平家追討に協力しました。特に畠山重忠は、当初源氏に対して敵対的でしたが、後に帰伏する際、「平家は一旦の恩、源氏は重代の恩」と述べ、武綱から授かった白旗や白弓袋を持って、頼朝の陣営に参加しました。頼朝は、武綱の先祖の行いを踏まえ、重忠に一番先に出陣するよう命じたと言われています。

武綱は秩父郡吉田郷に居城として、秩父氏館（吉田城）を築き、広大な秩父牧の支配を行っていました。この地域は、彼の他にも多くの武士たちの活動の拠点とされた場所でもあります。彼の歴史的な功績やその子孫たちの活躍は、後世にわたって語り継がれることになります。

脚注

このように、平武綱は平安時代後期の重要な武将であり、彼の行動は当時の日本の歴史に大きな影響を与えました。

参考文献

• - 落合義明　『中世東国の「都市的な場」と武士』　山川出版社、2005年。

関連項目

• - 勢揃坂: 東京・原宿にある坂で、平武綱がここから出陣したとも言われています。

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