平田紀一

平田紀一の生涯

平田紀一は、1886年（明治19年）に福島県会津美里町で生まれ、1938年（昭和13年）に53歳で亡くなった日本の官僚です。東京帝国大学を卒業後、内務省に入省し、地方行政に携わりました。同期には石坂泰三、重光葵、正力松太郎など、後に日本の政財界で活躍する人物がいました。

初期キャリアと内務省

平田は、茨城県属を皮切りに、富山県で警務課長や衛生課長を歴任しました。その後、大阪府で理事官や工場課長を務め、アメリカへの出張も経験しました。国際労働会議にも参加し、国際的な視野を広げました。帰国後は、佐賀県や新潟県の警察部長、滋賀県の内務部長などを歴任し、着実にキャリアを重ねました。警視庁官房主事を経て、内務省本省では警保局図書課長や都市計画課長を歴任しました。

山梨県知事としての活躍

1929年（昭和4年）7月、平田は山梨県知事に抜擢されました。当時、濱口内閣の緊縮政策に沿って、県公私経済緊縮委員会を設置し、県政運営を行いました。安達謙蔵内相が山梨県を訪問した際には、歓迎会を主催し、地方病撲滅や富士川改修を要望するなど、県民の生活向上にも尽力しました。また、山梨県体育協会の初代総裁に就任するなど、スポーツ振興にも貢献しました。しかし、一方で平田と民政党との癒着を指摘する声も上がり、県民大会が開かれるなど、批判も受けました。

群馬県知事、そして富山市長へ

濱口内閣総辞職後、後継の若槻内閣のもとで、平田は群馬県知事に異動しました。在任中には、上越線清水トンネルが開通し、県内の温泉資源開発が課題となりました。平田は県会で積極的な姿勢を示し、国立公園指定運動の契機を作りました。しかし、犬養内閣成立後、知事を解任されました。1935年（昭和10年）には、富山市長に就任しました。短期間の在任でしたが、日満産業大博覧会の準備や隣接町村との合併計画、工場誘致などに着手しました。市民からの信望も厚かったものの、病のため、9ヶ月で退任しました。平田は、日本赤十字社特別社員や会津会会員としても活動しました。

栄典

1930年（昭和5年）には、帝都復興記念章を受章しています。


平田紀一は、激動の時代の中で、地方行政に情熱を注ぎ、それぞれの地域で様々な功績を残しました。その功績は、今日の日本の発展にも繋がっています。

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