平田鐵胤

平田銕胤（ひらた かねたね）

平田銕胤は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した日本の国学者です。幼名を篤実、後に篤眞と名乗り、通称は内蔵介、号を伊吹舎・大角と称しました。彼は、国学者として著名な平田篤胤の養子となり、その学問を継承し、幕末の動乱期において重要な役割を果たしました。

生い立ちと国学への傾倒

平田銕胤は、伊予国（現在の愛媛県）で新谷藩士の家に生まれました。幼少の頃から学問に励み、特に和歌や国学に興味を持ちました。読書を通じて本居宣長の存在を知り、国学への関心を深め、平田篤胤の著作に触れたことがきっかけで、篤胤の門下に入り、後に養子となります。

平田塾での活動

江戸に出た銕胤は、平田塾で篤胤の学問を学び、その養子となります。塾では、篤胤の著書出版のための資金調達や販売などの実務を担当しました。篤胤の死後は、その遺志を継ぎ、門人の育成と教義の普及に尽力しました。また、篤胤の菩提寺への供養を欠かさず、門人を「篤胤没後の門人」とし、自らは学者として独立しようとはしませんでした。

幕末の動乱期における活動

幕末の動乱期には、平田銕胤は情報収集にも力を注ぎました。久保田藩から秘密探索を命じられ、「風雲秘密探偵録」として報告書をまとめました。この報告書には、当時の海防政策や攘夷運動に関する情報が記録されています。また、ロシア軍艦対馬占領事件では、膨大な情報を収集し、イギリスとロシアの共謀を疑いました。

文久期には、久保田藩の皇学頭取として上洛し、朝廷や長州藩士との交流を通じて情報を収集しました。門弟たちが関与した足利三代木像梟首事件（等持院事件）には関与しませんでしたが、門弟たちに同情的でした。京都では尊王攘夷を鼓舞し、秋田勤王派に大きな影響を与えました。

明治維新後の活動

明治維新後、平田銕胤は新政府の要職を歴任しました。明治天皇の侍講を務め、大学大博士にも進みました。また、義父篤胤を祀る平田神社を創建しました。晩年は、門弟の育成に尽力し、平田国学の普及に努めました。温厚な人柄で、学者肌であり、篤胤をよく補佐しました。

人物と業績

平田銕胤は、温厚で学者肌、勤勉家であり、人と争わず控えめな人物でした。緻密で物事を疎かにせず、奔放な篤胤をよく補佐しました。また、篤胤没後の平田家の財政を立て直し、莫大な借金を返済し、財を築きました。その陰には、妻千枝の大きな内助の功があったと言われています。

平田銕胤は、全国の門人に書状を送り、情報を共有しました。門人を大切にし、懇切丁寧に接しました。篤胤の生前の門人が553人、没後の門人が1330人であり、平田国学を全国に普及させた功績は大きいと言えます。幕末の平田国学を強力な思想集団にまとめ上げ、当時最大級の情報ネットワークを形成しました。

親族と系譜

平田銕胤の親族には、実弟の碧川好尚、長男の平田延胤、次男の三木鉄弥、子息の平田胤雄などがいます。妻の千枝は、篤胤の娘で、才女として知られていました。

著書

著書に『大壑君御一代略記』、『祝詞正訓』、『毀誉相半書本教道統傳』、『児の手かしハ』などがあります。

墓所

墓所は、東京都板橋区の総泉寺にあります。

まとめ

平田銕胤は、江戸末期から明治にかけて活躍した国学者であり、平田篤胤の養子としてその学問を継承しました。幕末の動乱期には、情報収集や門弟育成に力を注ぎ、明治維新後は新政府の要職を務めました。温厚な人柄で、学者肌であり、平田国学の普及に大きく貢献しました。

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