総泉寺

総泉寺の概要

総泉寺は、東京都板橋区小豆沢に位置する曹洞宗系の単立寺院です。山号を妙亀山と称し、本尊には釈迦如来を祀っています。この寺は、その歴史の中で移転と合併を経験し、現在の姿に至っています。

総泉寺の由緒

総泉寺の起源は、浅草橋場（現在の台東区橋場）にあった庵に遡ります。この庵は、京都の吉田惟房の子である梅若丸が橋場の地で亡くなった後、その母が出家して妙亀尼と称し、梅若丸の菩提を弔うために結ばれたものです。その後、武蔵千葉氏の帰依を得て、弘治年間（1555年 - 1558年）に千葉氏によって中興されました。さらに、佐竹義宣によって再興され、江戸時代には青松寺、泉岳寺とともに曹洞宗の江戸三箇寺の一つとして隆盛を誇りました。

1923年（大正12年）の関東大震災で被災したため、昭和3年に現在の地にあった古刹・大善寺に間借りする形で移転し、その後合併して現在に至ります。

大善寺との合併

合併前の大善寺は、15世紀末に開山した由緒ある寺院で、「江戸名所図会」にも掲載されるほど有名でした。現在、総泉寺の境内に残る薬師三尊（清水薬師）は、元々大善寺の本尊であり、伝承によれば聖徳太子の作とされています。八代将軍吉宗が鷹狩りの途中に大善寺に立ち寄った際、境内の湧き水があまりに美味であったため、「清水薬師」と命名したと伝えられています。この湧き水は「薬師の泉」として知られ、現在の地名「清水坂」の由来となっています。清水坂には子育て地蔵が安置されており、地域の人々の信仰を集めていましたが、現在では総泉寺境内に移されています。

旧本堂は昭和29年に世田谷区代田の円乗院に移築されたと伝えられています。

著名人の墓所

総泉寺には、歴史上の人物や著名人の墓所が数多くあります。

千葉守胤（中興、石浜城城主）
佐野信吉（佐野藩元藩主）
松平忠良（大垣藩藩主）
松平憲良（小諸藩藩主、忠良の子）
二代石出帯刀（伝馬町牢屋敷の長官）
寺崎広業（日本画家）
ハナ肇（クレージーキャッツ、本名野々山定夫）

また、秋田藩主佐竹氏の大名墓は、1998年（平成15年）に秋田市にある菩提寺天徳寺に移されました。なお、台東区橋場2丁目の旧寺地には平賀源内の墓が残されています。

文化財

総泉寺には、板橋区指定の有形文化財がいくつかあります。

薬師三尊像
* 大善寺址石坂供養塔

所在地

東京都板橋区小豆沢3-7-9

まとめ

総泉寺は、その長い歴史の中で、様々な変遷を経て現在に至っています。かつての江戸三箇寺の一つとしての栄華、大善寺との合併、著名人の墓所、文化財など、多くの歴史的価値を持つ寺院です。地域の歴史と文化を語る上で、重要な存在と言えるでしょう。

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