平範国

平範国（たいら の のりくに）は、平安時代中期に活躍した貴族です。桓武平氏の流れを汲む高棟流に属し、武蔵守・平行義の子として生まれました。官位は正四位下、伊予守にまで昇りつめました。

経歴

文章生として学問を修めた後、一条天皇の時代である長和4年（1015年）に蔵人所の雑色に任官し、官界に入りました。その後、後一条天皇の六位蔵人を経て、寛仁2年（1018年）頃には左衛門尉を務めています。寛仁5年（1021年）には従五位下に叙爵し、貴族としての地位を確立しました。その後、三河権守や甲斐守といった地方官を歴任し、地方行政にも携わりました。

長元9年（1036年）3月には五位蔵人に任命されますが、その直後に後一条天皇が崩御したため、一時的に蔵人を退任しました。しかし、すぐに後朱雀天皇の五位蔵人に再任され、再び宮廷での職務に復帰します。後朱雀朝から後冷泉朝にかけては、美作守や伊予守といった地方官を歴任し、長暦2年（1038年）に従四位下、長暦4年（1040年）には正四位下へと昇進しました。

平範国は、『範国記』という日記を著しています。現存しているのは、蔵人・正五位下・右衛門権佐を務めていた長元9年（1036年）4月から12月にかけての記事のみですが、当時の宮廷の様子や儀式、人々の生活を知る上で貴重な資料となっています。

官歴

時期不詳：文章生
長和4年（1015年）正月12日：蔵人所雑色
長和5年（1016年）11月25日：六位蔵人
寛仁2年（1018年）11月22日：左衛門尉
寛仁5年（1021年）日付不詳：従五位下
治安2年（1022年）7月14日：三河権守
長元4年（1031年）9月21日：甲斐守
時期不詳：正五位下、右衛門権佐
長元9年（1036年）3月3日：五位蔵人（後一条天皇）、4月17日：蔵人辞任（後一条天皇崩御）、4月19日：五位蔵人（後朱雀天皇）
長暦元年（1037年）11月5日：権佐辞任
長暦2年（1038年）正月7日：従四位下、11月22日：美作守
長暦4年（1040年）正月25日：正四位下
永承元年（1046年）8月17日：伊予守

系譜

父：平行義
母：致明の娘（源致明の娘とされる）
妻：源章任の娘
男子：平経方
生母不明の子女
男子：平経章（?-1077）
女子：藤原良基室


平範国は、文章生としての学識を基盤に、蔵人や地方官を歴任し、着実に昇進を重ねた人物でした。また、日記『範国記』は、当時の貴族社会や宮廷の様子を知る上で、非常に貴重な史料となっています。

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