平維衡

平維衡（たいら の これひら）

平維衡は平安時代中期に活躍した武将で、平貞盛の四男にあたります。彼は官位として従四位上を持ち、下野守、伊勢守、上野介、常陸介などの地位を歴任しました。特に伊勢国に地盤を築き、後に伊勢平氏の祖として知られるようになりました。

経歴

維衡の経歴は多彩ですが、その中でも特に有名なのは、下野守として在任中に同族の平致頼との間で起きた合戦です。この戦いは993年の長徳4年に神郡で発生し、互いに朝廷に不平を訴える結果となりました。この騒動は、彼らの間の告げ口や争いを生じさせ、多くの混乱を引き起こしました。最終的に、維衡は詫び状を提出し、淡路国へと移ることとなりました。この出来事は『今昔物語集』にも記されており、両者の抗争がどのように展開されたかを示しています。

その後、維衡は寛弘3年（1006年）に伊勢守に推挙されますが、道長が過去の抗争を理由に強硬に反対し、任官手続きに遅れが生じるものの、手違いで任命が確定してしまったため、彼は短期間でその役職を解かれてしまいました。長和年間から治安年間にかけては、上野介や備前守、常陸介を歴任し、多くの役職を経験しました。

治安3年（1023年）には筑前守との間で起こった事件に派遣されることとなり、維衡の影響力が感じられます。彼の最期の日については不明ですが、『尊卑分脈』によると85歳で亡くなったとされています。維衡の子息である平正輔とのトラブルが記録に残っており、少なくともその時期までは存命だったと推測されます。

維衡が関わった伊勢国における争いは、彼自身だけでなく次世代にまで引き継がれ、維衡の血筋からは平清盛が登場し、平氏一族の中で最盛期を迎えます。

人物

維衡は大江匡房の『続本朝往生伝』において、源満仲や平致頼と並ぶ代表的な武士として言及されており、鎌倉時代の『十訓抄』にもその名が挙がっています。これは彼の名声の高さを示しており、他の武士たちと同列に扱われていたことがわかります。ただし、彼の生涯には争いも多かったことが事実で、平致頼との武力衝突などがその一例です。

万寿元年（1024年）には、常陸国の相撲人・公候有恒が殺害され、維衡と有恒の同族間で責任の押し付け合いが起こりました。この事件を通して、維衡は無道な行動を取ったことが示唆されています。

系譜

維衡の系譜を見てみると、彼の父は平貞盛であり、出自は明らかですが、母親については詳細が不明です。彼の妻は陸奥国住人の長介の娘であり、男子として平正度や平正済などがいます。この形成は、維衡の血筋が続いたことを意味し、彼の子供たちもまたその後の平氏の発展に寄与することになります。

維衡の生涯は、当時の武士の姿勢や争いを反映したものであり、彼の影響力は後の時代にも色濃く残っています。その名は今なお、平安時代の武士の中でも高く評価されています。

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