平致頼

平 致頼（たいら の むねより）

平 致頼は、平安時代中期に活動をしていた武将であり、平五大夫と称されていました。官位は従五位下・備中掾であり、平家の一員としてその名を知られています。また、長田氏の祖でもあります。

略歴

平 致頼は坂東平氏の流れを汲む平公雅の三男（平良正の子とも言われる）として誕生しました。彼が歴史上に姿を現したのは長徳4年（998年）で、この年、同族である平維衡とともに伊勢国神郡で戦闘を繰り広げ、やがて朝廷から出頭を命じられ、尋問を受けることになりました。

この際、維衡はすぐに自らの非を認め、詫び状を提出しました。その結果、彼は位階を剥奪されることなく淡路国へ移されたのに対し、致頼は非を認めることができず、詫び状も提出しなかったため、位階を剥奪され、隠岐国へと流されることとなりました。

致頼の運命はその後も波乱に満ちており、3年後の長保3年（1001年）に赦免され、再び五位に復帰することができました。しかし、その数年後の寛弘4年（1007年）には、藤原伊周・隆家兄弟が藤原道長の暗殺を計画し、致頼に命じたとの噂が流れました。この騒動の背景には、致頼の弟・右兵衛尉致光やその兄弟が伊周の郎党として関与していた経緯があり、逃亡を余儀なくされました。

また、致頼の姉妹が既に亡くなっていた伊周・隆家の父、藤原道隆の家司・有道惟広の妻であったことから、致頼と伊周の接点も考えられます。特に有道惟能が伊周の家司であったため、両者のつながりがあったと言われています。この時、道長は金峰山へ向かう途中であり、何度かの連絡の後、計画自体は実行に移されずに終わりました。

致頼はその後も平安時代の武将として名を馳せ続け、寛弘8年（1011年）には卒去しました。しかし彼の後世への影響は計り知れず、伝記本『続本朝往生伝』においても源満仲、満政、頼光、平維衡らとともに「天下之一物」として高く評価され、当時の勇猛な武将としての地位を確立しています。

平 致頼の生涯は、彼自身の勇猛さと時代の流れの中での難しい立場を浮き彫りにし、その後世への影響を持つ人物として多くの記録に残されています。

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