平良将

平良将（たいら の よしまさ）

平良将は、平安時代前期に活躍した武将であり、平高望の三男（あるいは次男、四男）として生まれました。母は北家藤原良方の娘です。また、平将門の父としても広く知られています。

生涯

良将は、宇多天皇の勅命により、父の高望とともに平姓を賜り臣籍降下しました。その後、上総介に任じられた父に従い坂東へと下向します。当初の居所は定かではありませんが、後に県犬養春枝の娘を妻とし、下総国豊田郡を拠点としたとされています。県犬養春枝の出自は明らかではありませんが、その先祖である県犬養浄人は、天平勝宝7年に下総少目として記録に残っています。

父・高望が上総介の任期を終えても帰京しなかったため、良将は、常陸国にいた兄・国香や、上総国にいた兄・良兼とともに、下総国で未開拓地の開発や私営田の経営を行いました。また、鎮守府将軍としても活躍し、奥州への利権を築いたとされています。この奥州への利権が、後に平将門の乱の原因の一つになったという説も存在します。

諱を巡る異説

良将の諱については、『将門略記』や『扶桑略記』などの歴史書で「良持（よしもち）」とされています。古辞書において「将」を「モチ」と読む用法があったため、いずれにせよ「ヨシモチ」と読まれた可能性も指摘されています。しかし、『平安時代史事典』では、当時の命名法から親子で同じ文字（この場合は「将」）を用いることは考えにくいとされており、良将と良持は別人である可能性も示唆されています。

『吾妻鏡』や『平治物語』などの史料では、将門は良持ではなく良将の子とされており、良将と良持を別人としています。この場合、良持は良将の弟の一人として系図に名を残すのみとなります。

生没年について

良将の生没年は正確にはわかっていません。延喜17年・18年（917年・918年）に死亡したという説がありますが、『常陸国正宗寺旧記』には、延長8年（930年）に「鎮守府将軍平良将」が常陸に勝楽寺という寺院を建立したという記録が残っており、少なくとも延長8年までは存命であったと考えられます。また、生年を貞観15年（873年）とする史料も存在します。

子孫

良将の子孫は、子の将門が承平天慶の乱で戦没したため、その多くが歴史の表舞台から姿を消しました。孫の将国は常陸国信田郡浮島に逃れ、曾孫の文国が信田氏を称したとされています。

関連作品

NHK大河ドラマ『風と雲と虹と』 - 小林桂樹が良将を演じた。
原作：海音寺潮五郎『平将門』『海と風と虹と』

関連項目

武士団
荘園 (日本)

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