平野三郎

平野三郎の生涯と政治キャリア

平野三郎（ひらのさぶろう）は、1912年3月23日に岐阜県郡上郡八幡町（現・郡上市）で生まれた日本の政治家であり、1994年4月4日に82歳で亡くなるまで、岐阜県知事や衆議院議員として活躍した。

平野三郎の家族には著名な政治家が多く、父の平野増吉は衆議院議員であり、庄川事件に関連する活動で知られていた。また、叔父の平野力三は片山内閣の農林大臣を務めた。平野三郎は、これらの影響を受けながら育ち、政治の道を歩むことになった。

左翼運動と地方政治への進出

高校時代、平野は慶應義塾大学高等部で学びながら左翼運動に関与していたが、1931年に検挙され中退を余儀なくされた。彼はその後、内閣総理大臣となる幣原喜重郎の秘書として活動していたというが、幣原の秘書官からはその証言が否定されている。この時期の彼の活動は、政治家としての基盤を築く上で大きな意味を持っていた。

戦後の1947年、平野は八幡町長に選出され、1949年には民主自由党から第24回衆議院議員総選挙に立候補して当選。以降も連続して当選を果たし、自由党や自由民主党の公認で議員を務めた。特に大野派に属し、強力な影響力を持っていたが、1958年の岐阜県知事選挙では大野伴睦と対立し、党内での軋轢を感じることとなった。

政治的葛藤と憲法に関する業績

政治活動の中で、平野は護憲や日本とアメリカの安全保障条約に反対する立場を取り、三木武夫や石田博英と接近。1960年の衆議院選挙では安保問題が影響し、落選した。さらに1964年には、憲法調査会に提出した報告書「平野文書」も波紋を呼び、これは幣原が日本国憲法第9条の発案者であるとしていた。

しかし、憲法調査会からは厳しい評価を受け、最終報告には引用されることがなかった。平野文書は学界で議論を呼び出し、その真偽や信頼性に疑問が呈された。

岐阜県知事としての成果と懸念

1966年に岐阜県知事に当選した平野は、3期にわたり地域の発展に貢献した。しかし1976年には、工事の競争入札を巡る汚職事件が発覚し、書類送検を受け不信任決議が可決された。この事例は公選知事が議会で不信任に遭った初のケースであり、平野は辞職を余儀なくされた。最終的には1980年に懲役2年、執行猶予4年の判決が下った。

晩年と著作

平野三郎は1994年に気管支炎のため亡くなるまで、様々な著作を残している。著書には『保守主義の哲学』や『平和憲法秘話』などがあり、政治思想や戦後の日本について深く考察している。彼の政治家としての人生は、複雑で興味深いものであり、彼の思想は今なお議論の対象となっている。

平野の関与したさまざまな出来事や思想は、日本の戦後政治における重要な一環を成しており、彼の足跡を辿ることは歴史を理解する上で欠かせない作業である。

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