平野邦雄

平野邦雄（ひらの くにお）は、1923年（大正12年）に生まれ、2014年（平成26年）に逝去した日本の歴史学者です。東京大学で文学博士号を取得し、東京女子大学の名誉教授を務めました。専門は日本古代史であり、特に大化の改新前後の社会組織や政治過程、帰化人の役割などについて詳細な研究を行いました。

生涯

島根県松江市に生まれた平野は、旧制松江中学校、松江高等学校を経て、東京帝国大学文学部国史学科に入学しました。しかし、学徒出陣により海軍に入隊、終戦後に大学へ復帰し、坂本太郎教授のもとで日本古代史を専攻しました。1948年に大学を卒業後、九州工業大学で講師、助教授、教授として教鞭を執りました。

1967年には文化庁主任文化財調査官に就任し、文化財保護にも貢献しました。1970年からは東京女子大学教授となり、1971年には「大化前代の社会組織に関する研究」で東京大学から文学博士の学位を授与されました。1991年に東京女子大学を定年退任後は、名誉教授の称号を受けました。その後、1995年から2005年まで横浜市歴史博物館の館長を務めるなど、教育・研究以外にも幅広い分野で活躍しました。

2014年、肺炎のため91歳でその生涯を閉じました。

業績

平野の主な研究テーマは、大化の改新前後の古代社会構造や政治体制に関するものでした。『大化前代社会組織の研究』や『大化前代政治過程の研究』などの著書は、日本古代史研究における重要な文献として高く評価されています。また、『帰化人と古代国家』では、古代国家形成における渡来人の役割を詳細に分析し、新たな視点を提示しました。

文化財保護への貢献

歴史学者としての研究活動の傍ら、文化財保護にも尽力しました。島根県文化財保護審議会会長、島根県古代文化活用委員会委員長、福岡県太宰府史跡調査研究指導委員会委員長、福岡市鴻臚館跡調査研究指導委員会委員長など、数多くの役職を歴任し、文化財の保護と活用に貢献しました。また、木簡学会の会長も務めるなど、幅広い分野で活躍しました。

著書

平野は、数多くの著作を執筆しました。主な著書には、

『和気清麻呂』（1964年）
『大化前代社会組織の研究』（1969年）
『大化前代政治過程の研究』（1985年）
『帰化人と古代国家』（1993年）
『邪馬台国の原像』（2002年）
『史跡保存の軌跡 その苦闘の記録』（2004年）
『わたしの 「昭和」 ある歴史学徒の「追体験」』（2013年）

などがあります。

また、共編著として、

『古代人名辞典』(1956年)
『日本古代人名辞典』(1958-77年)
『福岡県の歴史』(1974年)
『日本霊異記の原像』(1991年)
『新版 古代の日本 第1巻 古代史総論』(1993年)
『木簡が語る古代史』(1996-2001年)
『邪馬台国 古代を考える』(1998年)
『大化の改新と壬申の乱 古代天皇制の成立』(2003年)
『日本古代中世人名辞典』(2006年)

などがあります。これらの著作は、日本古代史の研究において、重要な資料となっています。

まとめ

平野邦雄は、日本古代史研究の発展に大きく貢献しただけでなく、文化財保護にも尽力した歴史学者です。その研究成果は、今もなお多くの研究者に影響を与え続けており、その功績は後世に語り継がれるでしょう。

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