幽霊坂

三田の幽霊坂：歴史と謎に包まれた坂道

東京都港区三田四丁目に位置する幽霊坂は、古くから人々に親しまれてきた坂道です。正式名称は「幽霊坂」ですが、「有礼坂」とも表記され、その由来には諸説が飛び交います。本稿では、幽霊坂の歴史、特徴、周辺環境、そして他の「幽霊坂」との違いについて詳しく解説します。

由来の謎：幽霊と有礼、それぞれの説

江戸時代から「ゆうれいざか」と呼ばれてきた幽霊坂。その名の由来は、残念ながらはっきりとは分かっていません。主な説として、以下の2つが挙げられます。

幽霊説: 寛永12年（1635年）の江戸城拡張に伴い、八丁堀から多くの寺院が三田に移転しました。幽霊坂周辺にはこれらの寺院が密集しており、日中でも薄暗く、寂れた雰囲気だったことから、「幽霊が出そうな場所」として名付けられたという説です。
有礼説: 明治時代に、文部大臣の森有礼氏の屋敷がこの付近にあったことに由来するという説です。「有礼」を音読みすると「ゆうれい」となることから、この説が生まれたようです。しかし、これは定説とは言い難く、「幽霊」という負のイメージを避けるために、後付けでこじつけられた可能性も高いと考えられています。

どちらの説も確実な証拠はなく、幽霊坂の真の由来は、今もなお謎に包まれています。

寺院が立ち並ぶ坂道

幽霊坂は、国道1号から始まり、聖坂と交差して終わる、比較的短い坂道です。しかし、その勾配は途中から急になり、かつては三田や麻布方面の景色を一望できた、見晴らしの良い場所でもありました。

坂の両側には、江戸時代から続く由緒ある寺院が数多く建ち並んでいます。幕末には、随応寺、正泉寺（現在は目黒区碑文谷に移転）、仙翁寺、實相寺、長松寺、称讃寺、玉鳳寺、正覚院といった寺院が幽霊坂沿いに存在していました。これらの寺院の存在も、幽霊坂の独特の雰囲気を醸し出していると言えるでしょう。

昭和40年代までは、三田御田小学校の通学路にもなっていました。近年になって歩道が整備されましたが、ガードレールはまだ設置されていません。

他の「幽霊坂」との違い

「幽霊坂」という地名は、日本各地に存在します。東京都内だけでも、文京区目白台、北区田端、千代田区神田、新宿区牛込、港区高輪、品川区南品川などに「幽霊坂」または「ゆうれい坂」と名の付く坂道があります。三田の幽霊坂と区別するために、必要であれば「三田の幽霊坂」と呼ぶこともあります。これらの坂道はそれぞれ、独自の成り立ちと歴史を持っています。

まとめ：歴史と謎が織りなす魅力

三田の幽霊坂は、その名の由来に謎を残しつつ、江戸時代から続く歴史と、周辺に立ち並ぶ寺院群、そして独特の雰囲気によって、多くの魅力を秘めた坂道です。訪れる際には、歴史に思いを馳せながら、静かに坂道を散策してみてはいかがでしょうか。 幽霊坂の歴史を探ることで、東京の歴史の一端に触れることができるでしょう。また、他の「幽霊坂」についても調べてみることで、それぞれの地域の歴史や文化をより深く理解できるはずです。

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