広島市立袋町小学校

広島市立袋町小学校は、広島市中区袋町に位置する市立小学校です。1873年に「就將館」として開校し、市内でも特に歴史のある小学校の一つとして知られています。

歴史と変遷

開校当初は小町にありましたが、1876年に現在地に移転しました。その後、一時的に播磨屋町に移転しましたが、1910年に再び現在地に戻っています。この間、学校名は「桜川学校」「桜川小学校」「温知小学校」「袋町尋常小学校」と変遷を重ねています。1922年には「袋町尋常高等小学校」となり、1941年には国民学校令により「広島市袋町国民学校」と改称しました。

原爆の被災と復興

1945年8月6日、広島市への原子爆弾投下により、校舎は甚大な被害を受けました。鉄筋コンクリート造りの西校舎の一部を残して、ほとんどが消失するという悲劇に見舞われました。当時、多くの生徒は疎開していたものの、当日登校していた生徒や職員の多くが犠牲となりました。翌日には、この場所は臨時病院や救護所となり、多くの被災者の治療が行われました。戦後、1946年には授業が再開され、1947年には学制改革により現在の「広島市立袋町小学校」という名称になりました。

戦後の発展と平和資料館

戦後、校舎の再建が進み、1952年には北校舎と講堂、1957年には南校舎とプールが完成しました。2000年からは旧校舎の解体と新校舎の建設が始まり、2001年には新校舎と屋内運動場が完成しました。2002年には、被爆した旧西校舎の一部を平和資料館として開館しました。この資料館は、被爆当時の惨状を伝える貴重な証言として、被爆伝言や写真パネルなどを展示しています。この建物自体が被爆遺構であり、原爆の悲劇を後世に伝える重要な役割を担っています。

特徴的な教育活動と施設

2002年から教科担任制を導入し、2007年からは広島市教育委員会の「ひろしま型カリキュラム」の研究開発の指定を受け、「言語・数理運用科」の研究をしています。また、袋町小学校は、他の公共施設（袋町児童館、広島市まちづくり市民交流プラザ）との複合施設となっており、これは広島市内では初の試みです。この複合施設は、地域住民の生涯学習やボランティア活動の拠点としても活用されています。

平和資料館の詳細

平和資料館は、鉄筋コンクリート構造の地上2階、地下1階建てで、延床面積は約230平方メートルです。旧西校舎の一部を利用しており、被爆伝言が記された壁面や、被災した扉、窓、爆風で飛ばされた太鼓などが展示されています。見学には事前申し込みが必要となっています。かつて救護所として使われた際に壁に残された被爆伝言は、その当時の状況を今に伝える貴重な資料となっています。

地域の拠点としての役割

広島市まちづくり市民交流プラザは、2002年に開館し、延床面積5845平方メートルを誇ります。会議室やギャラリー、視聴覚室などを備え、市民の生涯学習やボランティア活動を支援しています。このプラザは、袋町小学校と袋町児童館との複合施設であり、地域交流の場として重要な役割を果たしています。2015年からは「合人社ウェンディひと・まちプラザ」という愛称で親しまれています。

アクセス

公共交通機関を利用する場合、広島電鉄宇品線袋町停留場、本線紙屋町東停留場、アストラムライン本通駅などから徒歩圏内です。バスの場合も、袋町バス停や放送会館前バス停、広島バスセンターからアクセスが可能です。

進路と著名な関係者

卒業生は、基本的に広島市立国泰寺中学校に進学します。また、柔道家の中谷雄英氏（1964年東京オリンピック金メダリスト）、数学史家の三上義夫氏、野球殿堂入りの田部武雄氏、女優の月丘夢路氏など、各界で活躍する著名な人物を多数輩出しています。

袋町小学校は、その歴史の中で、原爆の悲劇を経験し、復興を遂げてきました。今では、地域社会と連携し、子供たちの成長を支える重要な教育機関としての役割を果たしています。

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