広島県道35号音戸倉橋線

広島県道35号音戸倉橋線（ひろしまけんどう35ごう おんどくらはしせん）は、広島県呉市に位置する主要地方道です。この路線は、呉市音戸町引地1丁目の音戸大橋下交差点を起点とし、同市倉橋町鹿老渡を終点とする、総延長約25.7キロメートルの地域幹線道路となっています。

路線の成り立ち

本路線は比較的歴史が浅く、1994年（平成6年）に成立しました。その背景には、周辺の国道および県道の再編がありました。具体的には、国道487号への昇格に伴い、旧広島県道36号音戸沖美線の一部区間（呉市音戸町引地1丁目から同市音戸町早瀬1丁目まで）と、旧広島県道35号呉倉橋島線の一部区間（呉市音戸町藤脇2丁目から同市倉橋町本浦まで）、さらに旧広島県道284号鹿老渡本浦線の全線が統合され、新たな主要地方道として指定されたものです。このような経緯を持つため、複数の既存路線の要素を引き継いだ形となっています。

地理的な特徴

路線の大部分は倉橋島の海岸線に沿って通っています。特に音戸大橋から早瀬大橋にかけての区間は、倉橋島の東岸を通る国道487号とは異なり、西岸を縦断するルートをとります。早瀬大橋付近で再び国道487号と交差し、そこから南下して倉橋町の各集落を結びながら終点である鹿老渡に至ります。

なお、広島県最南端の有人島である鹿島へは、広島県道285号宮ノ口瀬戸線や広島県道286号中大迫清田線といった他の県道が接続していますが、これらは呉市道を経由しており、本路線を含め県道路線が直接鹿島へ通じているわけではありません。

道路の状況

道路の改良については、倉橋島東岸を走る国道487号と比較すると、比較的早期から整備が進んできました。特に倉橋町本浦以北の区間は改良が概ね完了しています。
最後まで改良が課題となっていた呉市音戸町藤脇から呉市倉橋町釣士田にかけての区間については、釣士田バイパスとして整備が進められ、接続する国道487号の藤脇バイパスと同時期の2011年3月30日に開通し、交通状況が大きく改善されました。倉橋町本浦より南側の区間については、一部で改良がなされていますが、概ね1.5車線程度の道幅となっている区間が多く見られます。

主な重複区間

本路線には、一部で他の主要な道路との重複区間が存在します。

国道487号：呉市音戸町引地1丁目（音戸大橋下交差点）から呉市音戸町渡子1丁目（渡子交差点）
国道487号：呉市音戸町早瀬1丁目（早瀬大橋東口交差点）から呉市音戸町藤脇1丁目（藤脇交差点）
広島県道283号倉橋大向釣士田港線：呉市倉橋町釣士田から呉市倉橋町宇和木

沿線の主なトンネル

路線上には複数のトンネルが存在し、交通の円滑化に寄与しています。

日附トンネル（長さ35m）
渡子トンネル（長さ91m）
若宮トンネル（長さ361m）
黄幡トンネル（長さ104m）
宇和木トンネル（長さ820m）：1995年に開通しました。
桂濱隧道（長さ128m）

通過自治体と交差する道路

本路線が通過するのは、全ての区間を通じて呉市のみです。交差する主な道路としては、起点および重複区間である国道487号や、重複区間を含む広島県道283号倉橋大向釣士田港線などがあります。

沿線の施設・名所

沿線には、地域のランドマークや歴史的な名所、観光地が点在しています。

音戸大橋、早瀬大橋といった、周辺地域との重要な交通結節点となる橋。
呉市倉橋町の桂浜には、日本最古とされる洋式ドックの跡が残されています。
長門の造船歴史館
桂ヶ浜海水浴場
終点付近の鹿老渡地区は、江戸時代に九州地方の大名が参勤交代の際に立ち寄った港町として栄えた歴史を持ちます。

関連事項

* 広島県の県道一覧

この路線は、倉橋島の西側を結ぶ主要な交通軸として、地域住民の生活や物流、観光において重要な役割を果たしています。

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