広島県道389号草深古市松永線

広島県道389号草深古市松永線とは

広島県道389号草深古市松永線（ひろしまけんどう389ごう くさぶかこいちまつながせん）は、広島県福山市の沼隈町（ぬまくまちょう）大字草深を起点とし、尾道市（おのみちし）浦崎町（うらざきちょう）を経由して、最終的に福山市藤江町（ふじえちょう）を終点とする一般県道です。この路線は、かつての自治体合併の経緯により、福山市の区域から一度尾道市の区域に入り、再び福山市に戻るという、やや珍しい経路をたどるのが大きな特徴です。

路線概要

この路線の起点は、福山市沼隈町大字草深にある福山市沼隈支所入口交差点で、主要地方道である広島県道47号鞆松永線に接続しています。終点は福山市藤江町で、こちらも広島県道47号鞆松永線に接続する形で終わっています。

道路の総延長は7.3キロメートルと比較的短い路線ですが、福山市沼隈町南部の沿岸部と、尾道市浦崎町の地域を結ぶ重要な生活・産業道路としての役割を担っています。

歴史的背景

広島県道389号草深古市松永線は、もともと1960年（昭和35年）10月10日に、広島県告示第682号によって広島県道251号草深古市松永線として認定されました。認定当初は沼隈郡沼隈町草深を起点とし、松永市藤江町を終点としていました。

その後、1966年（昭和41年）5月1日には、当時の福山市と松永市が合併して新たに福山市が設置されたことに伴い、終点の地名表記が松永市藤江町から福山市藤江町に変更されました。さらに、1972年（昭和47年）11月1日には、広島県道の路線番号が再編され、現在の路線名称である広島県道389号草深古市松永線となり、路線番号も389が付与されました。

現在の経路構造、つまり福山市を起終点としながら途中に尾道市域を挟むという特徴的な形になったのは、2005年（平成17年）2月1日に沼隈郡沼隈町が福山市に編入されたことがきっかけです。この編入により、起点も福山市となり、この路線は「福山市→尾道市→福山市」という飛地を通過する経路となりました。

この背景には、浦崎地区が昭和の大合併時に松永市や沼隈郡沼隈町ではなく尾道市との合併を選択した経緯があります。当時、浦崎地区は尾道市との船便での往来が主要な交通手段であり、自治体規模が大きい尾道市との結びつきが強かったことが理由とされています。しかし、半世紀以上が経過した現在でも、陸路で尾道市域から出ずに尾道市中心部と直接往来する手段はなく、この路線の経路は、昭和期の自治体合併が生んだ地域的な課題や生活圏の分断を示す一例とも言えます。

路線状況と地理

路線上には、山南川（さんなんか）を渡る春辺橋（はるべばし）などの道路施設が存在します。

この県道が通過する自治体は、順に広島県福山市、尾道市、そして再び福山市となります。

主な交差道路としては、起点および終点で接続している広島県道47号鞆松永線が挙げられます。

沿線には、福山市役所の沼隈支所があり、地域の行政サービス拠点となっています。また、百島や向島、尾道市中心部へ向かうフェリーボートを運航する備後商船の発着港である常石港（つねいしこう）も沿線に位置し、地域の海上交通を支えています。常石造船の常石工場もこの路線沿いに広がり、工場敷地内には一般の利用も可能なファミリーマートが併設されています。その他、福山市立常石ともに学園のような教育施設や、尾道市役所浦崎支所も沿線にあります。

海沿いを進むルートからは、かつて大規模な総合リゾート施設があった境ヶ浜（さかいがはま）の周辺を見ることができ、現在もリゾートホテルや、柳原良平の作品を展示するアンクル船長の館などが残っています。また、干潮時には本土から砂浜で渡ることができる小島にある沖ノ観音（おきのかんのん）など、地域の自然や歴史に触れることができる場所も沿線に点在しています。

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