広島県道52号世羅甲田線

広島県道52号世羅甲田線

広島県道52号世羅甲田線（ひろしまけんどう52ごう せらこうだせん）は、広島県世羅郡世羅町から同県安芸高田市に至る主要地方道に指定された県道である。広島県の中東部から北部にかけてを南北に結ぶ重要な幹線道路の一つとなっている。

概要と歴史的背景

この路線は、世羅郡世羅町賀茂を起点とし、三次市を経由して、安芸高田市甲田町上甲立にある高宮分れ交差点を終点とする。総延長は約27.1キロメートル。

特筆すべきは、この道筋が江戸時代において歴史的に重要な役割を担っていた点である。当時、石見国（現在の島根県西部）に領地を持っていた浜田藩や、長州（現在の山口県西部）を治めた毛利藩（長州藩）などが、江戸や大坂といった主要都市への移動に際し、このルートを近道として利用していたという。そのため、沿線地域ではこの道が「御通筋（おとおりすじ）」と呼ばれ、単なる交通路としてだけでなく、かつての藩主たちが往来した歴史の道として地域の人々に認識されていた。この歴史的な背景は、現在の主要地方道たる世羅甲田線の成り立ちにも繋がっていると言えるだろう。

路線データ

路線の起点は、広島県世羅郡世羅町賀茂であり、ここでは国道432号と接続する。
一方、終点は広島県安芸高田市甲田町上甲立に位置する高宮分れ交差点である。この交差点では、主要な幹線道路である国道54号（国道183号重用）および、広島県と島根県を結ぶ主要地方道である広島県道・島根県道4号甲田作木線と接続しており、地域の広域的な交通結節点となっている。
総延長は概ね27.1キロメートルとされる。

沿革

現在の主要地方道としての位置づけは、1993年（平成5年）5月11日に建設省（現・国土交通省）によって、県道世羅甲田線が主要地方道として指定されたことによる。
また、道路の管理主体に関しては、行政サービスの効率化などを目的として、2005年（平成17年）6月1日には特例措置が取られた。これにより、安芸高田市内の区間のうち、広島県道37号広島三次線と重複する区間を除く部分について、その管理権限が広島県から安芸高田市に移譲されている。

路線状況

本路線は、他の県道や国道と一部区間で経路を共有（重複）している。
具体的には、以下の区間が重複となっている。

広島県道28号吉舎豊栄線：世羅郡世羅町小国地内
国道375号：三次市三和町上壱 - 三次市三和町敷名（敷名市交差点）
広島県道37号広島三次線：安芸高田市甲田町高田原（三和分かれ交差点） - 安芸高田市甲田町上甲立（甲立駅口交差点）

これらの重複区間においては、それぞれの道路標識に従って走行することになる。

地理

通過する自治体

路線は以下の3つの市町を通過する。

広島県世羅郡世羅町
広島県三次市
広島県安芸高田市

主な交差道路

起点および終点、ならびに重複区間を含む主な交差道路は以下の通り。

国道432号（起点）
広島県道28号吉舎豊栄線（世羅町内）
国道375号（三次市三和町内）
広島県道37号広島三次線（安芸高田市甲田町内）
国道54号 / 国道183号（終点）
広島県道・島根県道4号甲田作木線（終点）

主な峠

路線の途中には、馬通峠（まとおしとうげ）がある。この峠は、広島県三次市と安芸高田市の境に位置しており、かつては令制国における備後国と安芸国の国境でもあった歴史的な意味合いを持つ場所である。

道路管理者

本路線の管理は、通過する自治体や区間によって複数の主体が行っている。

広島県世羅郡世羅町の区間：広島県東部建設事務所三原支所
広島県三次市の区間：広島県北部建設事務所
広島県安芸高田市の区間（広島県道37号広島三次線重用区間）：広島県西部建設事務所維持第二課・管理第二課
広島県安芸高田市の区間（広島県道37号広島三次線重用区間を除く）：安芸高田市建設部すぐやる課

それぞれの管理者が協力して、路線の維持管理、交通の円滑化、安全確保に努めている。

もう一度検索