広島西大橋

広島西大橋：太田川放水路に架かる、美しい斜張橋

広島西大橋は、広島県広島市の太田川放水路に架かる道路橋であり、広島高速4号線（西風新都線）の自動車専用橋梁として機能しています。2001年には、その卓越した設計と施工が評価され、全建賞（道路部門）を受賞しました。

市街地と西風新都を結ぶ重要な交通路

2001年10月2日に開通した広島西大橋は、広島市中心部から中広インターチェンジを経由して西風新都へと至るルート上に位置します。西風トンネルと併せて利用することで、市内中心部から西風新都へのアクセスを大きく向上させました。上流には山手橋、下流には己斐橋がそれぞれ架かっています。

水鳥をイメージした、優美なデザイン

広島旧市内において初めて架けられた斜張橋である広島西大橋は、単なる直線的な橋ではなく、水面を優雅に飛翔する水鳥を思わせるような大きなカーブを描いています。小ぶりな主塔と、2段の1面吊りケーブルを用いた連続斜張橋構造は、西側の山手町側の山肌に美しく映え、太田川放水路中流域に新たなアクセントを加えています。その設計思想は、従来の斜張橋というよりも、エクストラドーズド橋に近い特徴を持っています。

7径間連続鋼床版斜張橋の技術的詳細

橋種は7径間連続鋼床版斜張橋で、全長476.5メートルに及ぶ壮大なスケールを誇ります。支間長は40.0m + 88.0m + [email protected] + 35.0m となっており、最大主塔高は50.3メートル（橋脚を含む）です。車道幅員は13メートルと、多くの車両がスムーズに通行できる広さを確保しています。設計は日建設計シビルが担当し、施工は上部工が三菱重工業・川田工業JV、横河ブリッジ・駒井鉄工JV、下部工が山陽工業、松田組、宮田建設、栗本、砂原組によって行われました。

戦前の「西大橋」と原爆、そして復興

現在の広島西大橋ができる以前、戦前には同じ「西大橋」という名の橋が広島市内に存在していました。しかし、その位置は現在とは異なり、旭橋の北東方向、観音本町付近に位置し、山手川と福島川が作る中州から東に向けて架けられていました。1913年完成の市営屠畜場の存在から、少なくとも大正時代には既に存在していたと推測されています。

1945年8月6日の原爆投下では、爆心地から約2キロメートルの場所に位置し被災しましたが、通行に支障がない程度の損傷にとどまりました。そのため、多くの被爆者が市内から西の己斐方面へと避難する際に利用されました。しかし、同年9月の枕崎台風による橋中央部の陥没をきっかけに徐々に損壊が進み、最終的には西詰部分のみが残る状態となりました。戦後の太田川放水路改修に伴い、西大橋付近は埋め立てられ、現在の姿へと変わっていきました。

広島西大橋：過去と未来をつなぐ、重要な都市インフラ

広島西大橋は、単なる交通路としてだけでなく、戦前の歴史、原爆、そして復興という広島の歩みと共に存在してきた重要な都市インフラです。その美しいデザインと高度な技術は、未来へと続く広島の都市発展を象徴する存在と言えるでしょう。

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