広島電鉄江波線

広島電鉄江波線

広島電鉄江波線は、広島市中心部と江波地区を結ぶ軌道路線です。全線が広島市中区に位置し、本線と接続して、地域住民の重要な交通手段となっています。舟入地区を抜け、住宅街や平和大通り、国道2号線を横断し、終点の江波電停の先には江波車庫と広電江波営業所が設けられています。

概要

江波線の建設は、1943年、三菱重工広島造船所江波工場の操業開始が契機となりました。戦時下の軍の要請により、従業員の通勤輸送を目的として建設が進められました。同年12月に土橋電停 - 舟入本町電停間が開業、翌年には舟入本町電停 - 舟入南町電停間が開通しました。1954年には江波電停まで延伸し、現在の路線形態が完成しました。

開業当初の計画では、三菱重工業広島製作所江波工場までの延伸が予定されていましたが、現在も実現していません。江波電停から工場までは約1.3kmの距離があり、具体的な延伸計画は進んでいません。

江波線沿線には、広島市立舟入高等学校や広島県立広島商業高等学校、広島市立江波中学校などの教育機関が立地しており、通学に利用されています。特に、広島市立江波中学校は、舟入町電停周辺の居住者に限り、路面電車での通学を特例として許可しています。

2013年以降、超低床電車の導入に伴い、白島線との直通運転が開始されました。これにより、江波から土橋、八丁堀を経由して白島方面へのアクセスが向上しました。

運行形態

江波線では、主に以下の系統が運行されています。

6号線: 広島駅 - 十日市町 - 土橋 - 江波（本線直通）
8号線: 横川駅 - 十日市町 - 土橋 - 江波（横川線直通）
9号線: 白島 - 八丁堀 - 土橋 - 江波（白島線直通）

6号線と8号線はほぼ交互に運行され、地域輸送の主力となっています。9号線は、超低床車両1000形の導入に合わせて運行を開始しました。2022年7月時点では、早朝の白島行きと深夜の江波行きがそれぞれ2本運行されています。

車両については、基本的に単行車両と1000形が使用されます。平日朝ラッシュ時には、8号線において連接車（3000形）が1往復運用されます。6号線は700形と800形が中心ですが、深夜帯には1000形も運用されます。8号線は旧型車両の運用が多い傾向にあります。

かつては、土・日・祝日に8号線で「レトロ電車」と称した特別運行が行われていました。春と秋には100形101号、冬には200形238号が使用され、鉄道ファンに親しまれていましたが、2018年5月をもって終了しました。

歴史

1943年12月26日: 土橋 - 舟入本町間が開業。
1944年6月20日: 舟入本町 - 舟入南町間が開業。
1945年8月6日: 原爆投下により全線が運行休止。
1947年11月1日: 全線が復旧。
1954年1月8日: 江波口電停が江波電停付近に移転。
1959年11月1日: 舟入幸町電停が開業。
2013年2月15日: 超低床車両1000形が運行開始、白島線との直通運転を開始。
2019年4月1日: 舟入南町電停が舟入南電停に改称。

電停一覧

江波線には以下の電停があります（全電停が広島市中区内）。

土橋
舟入町
舟入本町
舟入川口町
舟入幸町
舟入南
江波

まとめ

広島電鉄江波線は、戦時中の工場輸送から発展し、現在では地域住民の足として重要な役割を担っています。白島線との直通運転やバリアフリー化など、時代の変化に対応しながら、これからも広島の街を支え続けるでしょう。

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