広島高速交通1000系電車

広島高速交通1000系電車の概要

広島高速交通1000系電車は、広島県広島市にあるアストラムラインで運営される新交通システムです。この電車は、1999年に広島高速交通によって導入され、同社の初のVVVFインバータ制御方式が採用されたモデルとなっています。

1. 車両の製造と設計

1999年、輸送力の増強を目的とし、広島高速交通は6両編成1本の1000系電車を製造しました。この車両は三菱重工業によって製造され、先頭車の車体長が、従来の6000系電車に対し60 mm延長され、全長は8,210 mmとなりました。また、編成の定員は288人に増加しています。この改良により、車両の運用効率が向上しました。

2. 座席配置と内装

先頭車には、運転台からの操作で収納できるロングシートが2箇所に設置されています。これにより、ラッシュ時の混雑に対応することができる設計となっています。また中間車の座席配置も改良され、従来の6人掛けから5人掛けに変更されました。これにより乗降時のスペースが確保され、利便性が向上しています。さらに、車内の冷房性能を向上させるため、屋根の塗装は黒色から白色の断熱塗装に変更されました。

3. 制御方式の革新

1000系電車は、6000系で用いられていた高周波分巻チョッパ制御方式から、より先進的なVVVFインバータ制御方式に移行しました。この新しい制御方式により、直流電力を交流に変換し、交流誘導電動機を駆動させることが可能となりました。これにより整流子やブラシが不要になり、メンテナンスの手間が減少しました。加えて、この制御方式は電動機の回転数とトルクの調整が可能で、雪や悪天候時の走行性能も向上しています。

4. 主電動機と駆動機構

1000系電車には、三菱電機製のMB-5079-A型（出力90kW）の主電動機が各電動車に2基搭載されており、歯車比は8.83と設定されています。これにより、従来の6000系よりも高い駆動性能を発揮します。編成内の車両は、中間車4両が全軸駆動となっており、全体で8軸が駆動軸として機能します。これにより摩擦力が向上し、悪天候時の空転を抑える効果が期待されています。また、先頭車は動力を持たない制御車となっています。

5. 営業運転と廃車

この1000系電車は、1999年3月20日のダイヤ改正に伴い、営業運転を開始しました。編成番号は6000系の続きとして設定され、第24編成（1124 - 1624）として運行されました。しかし、老朽化が進んだため、2020年3月に営業運転を開始した7000系電車に置き換えられ、2020年6月19日に廃車となり、その形式は消滅しました。広島高速交通の運行における1000系電車は、各種の先進的な技術が詰め込まれた重要な存在でした。

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