広州地下鉄

広州地下鉄：都市を支える大動脈

広州地下鉄は、広東省広州市と仏山市を跨ぐ広大な都市鉄道ネットワークです。その規模は、中国国内で北京、上海に次ぐ第3位であり、世界的に見ても最大級の都市鉄道システムとして知られています。

広大なネットワークと利用状況

17路線、290駅、総延長702.99kmにも及ぶ路線網は、広州市民にとって欠かせない移動手段です。2018年には年間乗車人員が30億人を突破し、1日平均でも800万人以上が利用するなど、その重要性は増すばかりです。道路交通の慢性的な渋滞緩和のため、現在も積極的に新線の建設が進められています。

広州市に隣接する仏山市へも路線が延びており、広仏線や仏山地下鉄2号線、広州地下鉄7号線などが開通しています。これらの路線は広州地下鉄と一体的に運用され、都市間の移動を円滑にしています。

スローガン

広州地下鉄のスローガンは「全程为你（全旅程はあなたのために）」であり、駅や車内など様々な場所で使用されています。

過去には、「地铁，为广州提速（地下鉄は、広州を加速させる）」や「新生活干线（新生活のメインルート）」といったスローガンも用いられていました。

歴史

1987年に建設資金の導入が開始され、当初はフランスからの投資が検討されましたが、後にドイツからの投資に変更されました。1993年には1号線の建設が開始され、1997年に一部区間で試験運転が開始されました。1999年6月28日には、1号線が正式に開業しました。その後も路線網は拡大を続け、2023年12月には5号線東延伸線と7号線二期が開業しました。2024年には3号線東延伸線、11号線の開業が予定されています。

料金体系

広州地下鉄の運賃は、珠江新城新交通システム線を除き、距離に応じた距離別運賃制を採用しています。

初乗りは2元で、4kmまで乗車できます。それ以降は、距離に応じて加算される仕組みです。複数経路がある場合は、最短距離で運賃が計算されます。広州地下鉄と一体的に運用されている仏山地下鉄の利用も、広州地下鉄の乗車距離として通算されます。

乗車から270分を超える場合は、最高運賃が適用されます。

乗車方法

駅の自動券売機でIC乗車券（トークン）を購入し、自動改札機を通って入場します。乗車券は降車時に回収され再利用されます。

プリペイドカードの「羊城通」や、その仏山版である「広仏通」も利用可能です。「嶺南通」として、広東省内の他の都市のカードとの互換性も確保されています。

2017年には、中国の地下鉄で初めてApple Payによる直接改札通過が可能になりました。

一日乗車券（20元）や三日乗車券（50元）も販売されており、広州・仏山の全路線で利用可能です。

車両

広州地下鉄では、L1・L2形電車やINNOVIA APM 100型電車などが使用されています。

利用状況の詳細

2018年度の一日平均輸送人員は829.03万人で、1キロあたりの輸送人員は2.11万人です。

利用者が最も多い路線は3号線で、オフィス街や繁華街、住宅地を結ぶ重要な路線ですが、6両編成のB型車両で運行しているため、非常に混雑しています。

駅別では、体育西路駅が最も利用者が多く、乗り換え客を含めると1日あたり約50万人が利用しています。

不祥事・議論

車内放送:

広州地下鉄の車内放送は、北京語、広東語、英語の3言語で放送されますが、駅名や乗り換え案内などの重要な情報以外は、北京語のみで放送される点が問題視されています。

セキュリティ強化:

2017年、セキュリティ強化のために大規模な投資が行われましたが、セキュリティチェック導入初日には駅の混雑や液体持ち込み制限に関するトラブルが発生し、乗客から不満の声が上がりました。また、セキュリティチェックルームの増設計画に対しても、公金浪費との批判が集中しました。

まとめ

広州地下鉄は、都市の発展に欠かせない重要なインフラです。その規模の大きさだけでなく、技術革新やサービス向上への取り組みも注目されています。今後も、市民生活を支える大動脈として、その役割を果たし続けるでしょう。

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