広沢安任

広沢安任について

広沢安任（ひろさわやすとう）は、1830年2月24日に生まれ、1891年2月5日に亡くなった江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した日本の武士です。彼は特に会津藩の藩士として知られ、また牧場主としても名を馳せました。本記事では、彼の生涯や業績、そして彼にまつわるエピソードについて詳述します。

生涯の歩み

広沢は広沢庄助の次男として生を受けます。文久2年（1862年）、会津藩主松平容保が京都の守護職を任ぜられたことを受け、安任も上京し、京都の状況を探る活動を行いました。彼は容保上京後、公用方として諸藩士や新選組、さらには公卿たちとの交流を持ちます。ところが、鳥羽・伏見の戦いの後、容保や江戸に戻った藩士たちの立場が危うくなり、安任は新政府にその嘆願を行うため残留したところが、新政府軍に捕らえられ投獄されることとなりました。

明治2年（1869年）に釈放されましたが、彼が連絡を取った英国外交官アーネスト・サトウの助けが大きかったと言われています。 その後、会津藩は戊辰戦争の敗北により斗南へ減封され、さらに廃藩置県により斗南県となりました。

安任は斗南県の小参事に就任し、困窮する県の救済策として弘前県への合併を試みました。結果として弘前・黒石・斗南・七戸・八戸の5県が合併し、新たな弘前県（のちの青森県）が誕生しました。この功績により、安任は地域の発展に大いに貢献しました。

開牧社の設立と地域貢献

さらに、安任は1872年に三沢市に日本初の洋式牧場「開牧社」を開設しました。当初は地元住民の反対や資金不足に悩まされましたが、内国勧業博覧会での受賞をきっかけに認知度が向上しました。この牧場は地域の発展に寄与し、安任の名を広めることになりました。

特に1876年には明治天皇が青森を訪問した際、内務卿の大久保利通が牧場を訪れ、安任に国家での働きをすすめましたが、安任は「野にあって国家に尽くす」としてこれを固辞したと言われています。このように、彼は地域と国の発展に深く関与し、自身の信念を貫く姿勢を示しました。

後世への影響

安任は養嗣子に甥の辨二を迎え、彼は駒場農学校を卒業した後、衆議院議員としても活躍しました。 1891年にインフルエンザで亡くなった安任は、1915年に追贈として従五位を受けることとなりました。

また、1878年には自ら『開牧五年紀事』を著し、その序文には福澤諭吉の言葉が寄せられています。彼の生涯は、地元の発展に貢献する姿勢と教育への関心を強く表しています。

開牧社はその後、子孫により「広沢牧場」と改名されて経営されましたが、1985年に閉鎖されました。現在はその土地の一部が三沢市に寄付され、斗南藩記念観光村として1995年から一般開放されています。回顧すれば、安任の努力と信念は今でも地域の人々に受け継がれています。

関連作品

広沢安任の生涯は、テレビドラマ『新選組!』や『八重の桜』などで取り上げられ、広く知られることとなりました。これらの作品を通じて、彼の人物像や功績が再評価されています。彼の歴史的な意義は、現在もなお多くの人々に影響を与えているのです。

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