広深港高速鉄道

広深港高速鉄道：広州と香港を結ぶ高速交通網

広深港高速鉄道は、中国広東省の広州と香港を深圳を経由して結ぶ高速鉄道です。珠江デルタ地域の主要都市を高速で結び、経済交流の促進に大きく貢献しています。全長142kmの路線は、広州と香港間の所要時間を従来の在来線と比較して大幅に短縮し、最速47分を実現しました。深圳と香港間では最速14分で移動できます。

スピーディーな移動と利便性

広州から香港への移動時間は、在来線の約100分から最速47分へと大幅に短縮されました。この高速化は、ビジネスパーソンや観光客にとって大きなメリットとなっています。列車の本数は、平日は香港側で70往復運行され、休日や繁忙期にはさらに増便されます。香港と深圳間の運行本数が特に多く設定されているのも特徴です。

乗車手続きと注意点

香港からの乗車は、発車2時間前から手続きが開始されます。入出国審査があるため、発車時刻の45分前には駅に到着しておく必要があります。特に外国人旅行者は、余裕を持った行動が推奨されます。手荷物には制限があり、大人の場合、20kg以内、3辺の合計が130cm以内と、多くの航空機の国際線預け入れ荷物制限よりも厳しい点が注意が必要です。

運賃と精算

座席の種類は、二等、一等、特等、商务の4種類が用意されています。重要な点として、中国本土で認められている乗り越し精算は、広深港高速鉄道では認められていません。香港までの正規乗車券を持たずに到着した場合、不足運賃の5割増しに加え、1,500香港ドルから3,000香港ドルの罰金が科せられるため、注意が必要です。

京港旅客専用線との連携

広深港高速鉄道は、北京西駅から広州南駅までを結ぶ京港旅客専用線の路線の一部を構成しています。このため、北京から香港までの直通運転も実現しており、所要時間は約8時間56分です。京港旅客専用線は、2012年12月26日に北京西駅～広州南駅間が開通し、2018年9月23日に香港西九龍駅まで延伸されました。

本土側（広州～深圳間）の建設

広州～深圳間の106kmは、国務院鉄道部と広東省政府の合資により建設されました。当初は2011年の深圳ユニバーシアード開催に間に合わせる予定でしたが、同年7月の浙江省での高速鉄道事故の影響などで開業が延期されました。2011年12月26日に広州～深圳北間が開通し、2015年12月30日に福田駅まで延伸されました。本土側の最高速度は時速350kmです。

広九直通列車との比較

広州と香港間には、在来線の広九直通列車も運行されています。こちらは中国国鉄と香港MTRが相互に運行する客車列車で、国際列車に準じる扱いとなります。出入国審査は出発駅と到着駅で行われ、広深港高速鉄道とは異なった手続きが必要です。広九直通列車はビジネス利用や外国人観光客に多く利用され、広深CRHとMTR東鉄線の乗り継ぎルートは一般市民に人気があります。

香港側（落馬洲～香港西九龍間）の建設

香港側の路線は香港鉄路が建設を担当し、2018年9月23日に開通しました。落馬洲で本土側と接続し、香港西九龍駅が終着駅となります。当初は既存路線を利用する案と、専用線を建設する案がありましたが、最終的に専用線が採用され、高速走行が可能となりました。

入出国審査と一国二制度

広深港高速鉄道では、香港西九龍駅で香港と中国の両方の出入国審査が同時に行われます。駅構内の一部や車内では中国の法律が適用されます。この点については、一国二制度との矛盾を指摘する声もあります。

車両と歴史

車両はCRH380A型やCR400AF型が使用されています。CRH380A型は、本土向けの車両をベースに、耐火設備や保安面を強化したものです。歴史的には、2005年に本土側の工事が始まり、2018年に香港側の開通に至っています。2020年には新型コロナウイルスの影響で運行が一時停止されましたが、2023年には再開されました。

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