広瀬実光

広瀬実光は、1874年8月17日に生まれ、1955年6月24日に没した日本の実業家です。彼は、日本陶器株式会社（現ノリタケカンパニーリミテド）において、取締役社長、取締役会長といった要職を歴任し、同社の発展に大きく貢献しました。実業家としての顔を持つ一方で、弓道の達人としても知られ、大日本武徳会弓道範士という名誉ある称号を得ています。

生い立ちと経歴

広瀬実光は、陸軍少佐であり、森村銀行の頭取も務めた広瀬実栄の次男として生を受けました。彼の学歴は、高等商業学校（現在の一橋大学）附属主計学校、ニューヨーク・イーストマン商業専門学校と、国内外に渡っています。1895年には、森村組に入社し、実業家としてのキャリアをスタートさせました。1917年には、東洋陶器の設立発起人となり、同社の監査役に就任。その後、1922年に日本陶器の社長に、1939年には会長に就任しました。これらの役職を通じて、広瀬は日本陶器の経営を牽引し、その成長に大きく貢献しました。また、森村豊明会の監事も務めています。

弓道家としての活躍

実業家として多忙な日々を送る一方で、広瀬実光は弓道にも情熱を注ぎました。1929年5月には、大日本武徳会弓道範士の称号を得ています。彼は、名古屋市の弓道界において重要な役割を担い、1940年に開催された紀元二千六百年奉祝天覧武道大会弓道の部では、審査員を務めました。彼の弓道における卓越した技術と知識は、当時の弓道界に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

親族関係

広瀬実光の親族関係も特筆すべき点が多いです。父は前述の通り、森村銀行頭取の広瀬実栄です。妻の沽龍は、外交官の鄭永邦の弟であり、袁世凱の嘱託を務めた鄭永昌の長女です。姉の猪野は、南洋協会の会長を務めた法華津孝治に嫁ぎ、その孫には乗馬選手の法華津寛がいます。妹の隆は、中央大学の学長を務めた岡村輝彦の弟で医学博士の岡村龍彦に、妹の安は大日本麦酒の取締役を務めた農学博士の矢木久太郎にそれぞれ嫁いでいます。これらの親族関係からも、広瀬実光が当時の社会において、重要な地位を占めていたことが伺えます。

広瀬実光は、実業家として日本陶器の発展に尽力する一方で、弓道家としても高みを目指し、その両面で卓越した才能を発揮しました。彼の生涯は、日本の近代史における産業と武道の発展を語る上で、重要な足跡を残したと言えるでしょう。

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