南洋協会

南洋協会について

南洋協会は、1915年（大正4年）に設立された、南洋諸島の調査研究および東南アジア地域の開発を目的とする団体です。大日本帝国の植民地政策、いわゆる南進論を推進する上で、重要な役割を担いました。

設立の背景

南洋協会は、日本の南洋進出を警戒する欧米列強への対策として、民間団体の形態を取りながら南洋事業を推進しました。設立当初は、台湾総督府と密接な関係を持っていましたが、後に外務省の支援を受けるようになり、国策協力機関としての性格を強めていきます。

1915年1月30日には、築地精養軒で創立総会が開催され、近藤廉平男爵が座長を務めました。台湾総督府民政長官の内田嘉吉が創立者を代表して、南洋の事情調査、利源開発、そして地域住民の福祉向上を目的とした活動方針を説明しました。創立には、各界の著名人約70名が発起人として名を連ねています。

設立当初の事務所は、便宜上、台湾総督府出張所内に置かれ、ジャワ、スマトラ、ボルネオ、セレベス、マレー半島、フィリピンといった広範囲な地域での開発事業に着手しました。

活動の変遷

当初、南洋協会は台湾総督府との連携を密にしていましたが、1929年の後藤新平の死去などを契機に、昭和13年度には外務省から文化経済工作として5万円の交付を受けました。これにより、外務省は南洋協会を活用して南方政策を推進し、南洋協会は「半官半民」の組織から「国策協力機関」へと変化しました。1939年9月には「南洋経済懇談会」を開催し、日本が植民地支配していた東南アジア各地に支部を設立しました。また、現地での日本語教育を担う「南洋学院」の入試事務を日本本部の南洋協会が担当し、サイゴンに置かれた支部は学院の庶務や会計業務を担っていました。

創立発起人

南洋協会の設立には、以下のような多くの著名人が発起人として参加しました。

犬養毅、磯辺保次、井上雅二、井上敬次郎、池田謙三、羽田浪之紹、服部金太郎、早川千吉郎、林田亀太郎、新渡戸稲造、堀啓次郎、星野錫、本多静六、鳥居龍蔵、床次竹二郎、土居通夫、大橋新太郎、小川平吉、大谷嘉兵衛、緒明圭造、大島健一、若宮貞夫、和田豊治、渡辺国重、加藤正義、河合（金＋市）太郎、鎌田栄吉、上山満之進、吉田春吉、高田釜吉、竹内虎雄、竹越与三郎、中村房次郎、中村是公、中野武営、中島久万吉、内田嘉吉、山成喬六、山本悌二郎、柳生一義、安場末喜、松井慶四郎、松岡均平、松山忠次郎、馬越恭平、政尾藤吉、増田増蔵、増田義一、福井菊三郎、藤瀬政次郎、小林丑三郎、郷隆三郎、郷誠之助、寺島誠一郎、田健治郎、荒井泰治、秋山真之、坂田重次郎、吉川重吉、木下新三郎、湯河元臣、目賀田種太郎、三村君平、箕浦勝人、宮尾舜治、宮島幹之助、白岩龍平、庄司義基、渋谷嘉助、渋沢栄一、下岡忠治、下坂藤太郎、本山彦一、茂木惣兵衛、関直彦、鈴木貫太郎、鈴木梅四郎。

組織

南洋協会の歴代会頭には、芳川顕正、田健治郎、蜂須賀正韶、近衛文麿が名を連ねています。また、歴代副会頭には、吉川重吉、藤山雷太、内田嘉吉、和田豊治がいました。

戦後と現在

太平洋戦争（大東亜戦争）後、南洋協会の活動は長らく停滞しましたが、1999年に猿橋望氏が運営に携わるようになり、「異文化コミュニケーション財団」として再編されました。2008年にはNOVAから独立したメンバーによって運営が引き継がれ、その後「アジア・南洋協会」と改称し、現在に至ります。

関連団体・書籍

南洋協会は、南洋学院、日清汽船、日本拓殖協会、東洋協会、南支調査会、日華学会、満州国留日学生補導協会、善隣協会、新興亜会、フィリピン協会、日泰協会、日露協会といった団体と関係がありました。また、関連書籍として『南洋協会二十年史』、『南洋群島写真帖』、『南洋年鑑』などが存在します。

外部リンク

• - 一般財団法人アジア・南洋協会)

南洋協会は、日本の南洋進出において重要な役割を果たした団体であり、その歴史は現在の「アジア・南洋協会」に引き継がれています。

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