広田さくら (プロレスラー)

日本の女子プロレス界において、類稀なるユニークさとエンターテインメント性で異彩を放つ選手、それが広田さくらです。現在のリングネームはシン・広田さくら。1978年4月12日生まれ、本名：広田紗久良（ひろた さくら）。

異色のキャリアスタート

プロレスラーとなる前、広田はNHKの教育番組『中学生日記』で主要キャストとしてテレビ出演するなど、子役として活動していました。しかし、1995年に女子プロレス団体GAEA JAPAN（ガイア ジャパン）への入門を志願し、プロレスラーの道へ進みます。

プロテストの落第でデビューは遅れましたが、1996年8月12日、女子プロレス史上初となる日本武道館でのデビュー戦を実現。師である長与千種とのタッグで、アジャ・コング、田村欣子組と対戦しました。

バラエティープロレスラーへ

当初は正統派やアイドル路線を期待されましたが、結果が出ずに苦悩。長与千種からの「人を驚かせろ」というアドバイスをきっかけに、独自の道を開拓します。

1998年頃から、毎試合異なるコスプレでの入場や、段ボール製の自主タイトル「HHH王座」を持ち込むなど、予測不能なパフォーマンスで観客を魅了。「バラエティープロレスラー」としての地位を確立し、人気を博しました。女子レスラーとしては稀有な股間打ちを得意とする一方、時にはヒールキャラクター「広田悪良」に変身するなど、多面的な魅力を見せました。長与千種とのタッグチーム「チームエキセントリック」でも活躍し、高い勝率を残しています。

一度の引退と二度の復帰

2005年4月、所属団体GAEA JAPANの解散に伴い、プロレスを「卒業」と称して引退。その後は女優やタレントとして活動しました。

しかし、リングへの情熱は消えず、2009年にプロレス復帰に向け練習を開始。同年4月の限定復帰を経て、12月16日、ユニオンプロレスで約4年ぶりにプロレスラーとして本格的にリングへ戻りました。復帰後はWAVEなどを主戦場に、様々な団体でその存在感を発揮します。

結婚、改名、そして母に

2012年7月、結婚を発表し、リングネームを「旧姓・広田さくら」に改名。翌年にはプロレス界初となる自身の結婚披露宴興行を開催し、ファンと共に祝福ムードを共有しました。2014年にはWAVEの主要リーグ戦「Catch the WAVE」で技能賞などトリプル受賞。WAVEやOZアカデミーでタッグタイトルを獲得するなど、選手として脂が乗ります。同年12月からは不妊治療のため産休に入り、一時活動を休止しました。

2017年3月、男女の双子を出産。母となった後、同年8月にプロレスラーとして再復帰。子連れでのリング登場や会見も行い、新たな一面を見せました。

再度の改名、負傷、そして新たな道へ

WAVE所属選手として活動を続ける中、Regina di WAVE王座やW.W.W.D世界エリザベス王座など主要タイトルを獲得。

2024年4月、離婚を公表し、リングネームを「シン・広田さくら」に再改名。改名直後にはエリザベス王座に再び戴冠するも、同年10月の自主興行で試合中に右肩を脱臼し、長期欠場を余儀なくされました。2025年2月に復帰を果たしましたが、同年6月には第27回参議院議員通常選挙への立候補を表明。これに伴い、プロレスリングWAVEを退団することを発表しました。

独自のプロレススタイルと技

広田さくらの最大の魅力は、その予測不能な動きと観客を巻き込むエンターテインメント性です。代表的な技には、独自の丸め込み技「へなーラサンセット」、カンチョー「ボ・ラギノール」、女子レスラーとしては珍しい「股間打ち」、特定の有名人の動きを模倣した「高田純次」、コーナーポストでの倒立技「犬神家」、ロープ渡り「拝み渡り」など、ユニークなものが多数あります。相手選手の得意技を模倣する「ものまね」も十八番の一つです。

波乱万丈かつ常に話題を提供する彼女のキャリアは、プロレス界において唯一無二の存在感を放ち続けています。

主な獲得タイトル

• - Regina di WAVE王座
• - W.W.W.D世界エリザベス王座
• - HHH(Hirota Henachoko Handmade)王座
• - HHHタッグ王座
• - DUAL SHOCK WAVE王座
• - OZアカデミー認定タッグ王座
• - W.W.W.D認定世界タッグ王座

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