庭田重保

庭田重保（にわた しげやす）は、室町時代末期から安土桃山時代にかけての公卿で、庭田家10代当主です。父は権大納言を務めた庭田重親。官位は正二位、権大納言にまで昇りました。自筆記である『重保朝臣記』の作者としても知られています。

生涯

享禄2年（1529年）に叙爵し、公卿としての道を歩み始めます。天文3年（1534年）には侍従に任じられ、天文16年（1547年）には蔵人頭に就任。その後、頭中将を経て、弘治元年（1555年）には参議となります。永禄元年（1558年）には権中納言にまで昇進しました。

元亀4年（1573年）には、足利義昭と織田信長の対立が深刻化する中、朝廷は事態の収拾を図るべく、庭田重保は二条晴良、三条実澄と共に勅使として織田勢の本陣である知恩院へ赴き、信長と直接対面し調停を試みました。

天正3年（1575年）には権大納言に任じられ、天正4年（1576年）には正二位に叙せられています。

『重保朝臣記』と称される自筆記は、天文17年（1548年）の正月の記録が現存しています。当時、重保は24歳で頭中将でした。歌人としても才能を発揮し、正親町天皇の宮廷で天正8年（1580年）頃に催された『天正内裏歌合』や、天正20年（1592年）の後陽成天皇の聚楽第行幸の際の歌会など、宮中における歌会に頻繁に参加していたことが記録からわかります。当時の宮廷文化に深く関わっていた人物であったことが伺えます。

系譜

父：庭田重親
母：今出川季孝の娘
妻：広橋兼秀の娘
男子：庭田重具
男子：正親町季秀
男子：中御門資胤


庭田重保は、公卿としての活動だけでなく、歌人、そして記録者として、室町時代末期から安土桃山時代にかけての宮廷文化を豊かに彩った人物と言えるでしょう。

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