庶民金庫

庶民金庫とは

庶民金庫は、1938年（昭和13年）に庶民金庫法に基づき設立された特殊法人です。当時、高利貸しに苦しむ中小企業や個人事業主、サラリーマンに対し、より利用しやすい小規模融資を提供することを目的としていました。

設立の背景

当時の社会情勢を背景に、高利貸しに頼らざるを得ない人々が多く存在していました。庶民金庫は、このような状況を改善し、健全な金融システムを構築するために設立されました。

融資対象と条件

庶民金庫の主な融資対象は、中小企業、個人事業主、およびサラリーマンでした。融資額は1000円未満と小規模で、事業資金や生活資金といった用途が想定されていました。特徴的なのは、担保を必要とせず、個人の信用のみで貸付を行っていた点です。申込要件は、「現在または将来において支払能力があり、返済の誠意がある者」と定められており、返済能力と誠実さが重視されていました。

業務内容

庶民金庫は、小規模融資の提供を主な業務としていましたが、その業務の一部を民間の銀行や信用組合などに委託することも想定されていました。これにより、より多くの人々にサービスを提供することが可能でした。

資金調達

庶民金庫の資本金は全額政府出資で賄われていました。また、庶民債券という金融債の発行も認められており、これらの資金を元に融資事業を展開していました。

解散

庶民金庫は、1949年（昭和24年）に国民金融公庫に業務を引き継ぎ、その歴史に幕を閉じました。しかし、その設立目的や融資制度は、後の金融機関に大きな影響を与えました。

関連情報

• - 金庫 (特殊法人)：庶民金庫と同様に、特定の目的のために設立された特殊法人としての金融機関。
• - 恩給金庫：元官吏や退役軍人を対象とした、同様の金融機関。

参考文献

• - 百瀬孝 『事典 昭和戦前期の日本 制度と実態』 伊藤隆監修、吉川弘文館、1990年

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