庶路炭鉱

庶路炭鉱の歴史と現況

庶路炭鉱（しょろたんこう）は、北海道白糠郡白糠町にある釧路炭田の一部であり、その存在は1950年代からの近代化の中で重要な役割を果たしました。この炭鉱は庶路川の支流であるチプタナイ沢の中流域に位置しており、炭鉱の歴史は明治時代にまで遡ることができます。

イニシャル・ステージ

庶路炭鉱の開発は、昭和10年代を迎えた1930年代に明治鉱業によって本格化しました。1938年に庶路の鉱区を買収することで、庶路炭鉱が誕生しました。その後、別の炭鉱である本岐炭鉱も買収し、明治鉱業の庶路・本岐炭鉱として活動を展開しました。1962年には本岐炭鉱が再び分離されて本岐鉱山となりますが、これらの動きは地域産業の発展に寄与しました。

初期の採掘

庶路炭鉱近辺の炭層の発見は明確に記録されていないものの、1857年に江戸幕府が白糠町で石炭採掘を開始したことが、釧路炭田の開発のきっかけとされています。大正時代には、小規模な狸掘り式炭鉱が存在していましたが、その発展は遅れていました。この時期に炭鉱権を持った業者が何度も変わる中で、不良炭層を対象にしたため、業績が上がることはありませんでした。しかし、昭和の時代に入ると、明治鉱業が本格的な調査を進め、開発が進展しました。

重要な出来事

庶路炭鉱の沿革を辿ると、1937年に明治鉱業が炭層調査を開始し、9月にチプタナイ沢で炭層を発見したことが特筆されます。1939年には庶路に最初の坑道が開設され、1943年には両鉱で16万トンの生産を達成しました。しかし、1960年には大規模なガス爆発が発生し、18名の命が失われ、7名の重傷者を出す悲劇的な事故が起きました。このような安全面での課題が続く中、1964年1月31日に労働組合の決議により、庶路炭鉱は閉山します。

閉山後の影響

庶路炭鉱の閉山により、北海道電力が計画していた釧路火力発電所の建設計画が中止に追い込まれました。以後、白糠町のコイトイ付近では釧路白糠工業団地の造成が本格化し、地域の産業が徐々に再生していくことになります。

現在の状況

現在、かつての庶路炭鉱は王子ホールディングスの社有林として管理されており、林道が伸びています。その周辺には一般の立ち入りが禁止されているため、かつての炭鉱の姿を直接目にすることはできません。庶路・本岐炭鉱の跡地は今も静かな場所として残り、炭鉱時代の面影を感じさせています。

付帯施設の存在

庶路炭鉱には関連施設も存在していました。炭鉱映画館や炭鉱病院、信和集会所などがそれに該当しますが、これらの施設は炭鉱時代の生活やコミュニティの一部を構成していました。

このように、庶路炭鉱はただの産業遺産ではなく、北海道の地域社会と密接に結びついた歴史的な存在であり、その影響は現在においても色濃く残っています。

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