康慶

康慶について

康慶（こうけい、生没年不詳）は、平安時代の終わりから鎌倉時代の初めにかけて活動した著名な仏師です。息子である運慶をはじめとする弟子たちを育成し、慶派仏師の基盤を築いた重要な人物として知られています。彼の活動は、治承4年（1180年）のあの有名な南都焼き討ちの後においても中心的な役割を果たしました。康慶の生涯については多くの不明点が残っていますが、彼の作品は現在でも高く評価されています。

生い立ちと背景

康慶の生没年は明らかではありませんが、彼は興福寺を中心に活動する仏師として知られています。彼は奈良仏師の系譜に属し、『養和元年記』には「康朝小仏師」と記されています。これにより、南都仏師の正系である康朝の弟子だとされていますが、康朝の父である康助の次代とされる文献も残っています。仏像制作が開始されたのは康助がこの世に存在していた時期とされており、そのため康慶は康助の弟子であった可能性が高いです。

主要な事績と代表作

彼の初期の活動は仁平2年（1152年）に制作された吉祥天像によって確認されています。その後、治承元年（1177年）には後白河法皇による蓮華王院五重塔の造仏に貢献し、法橋の位を受けました。康慶は治承4年に発生した平重衡による興福寺焼き討ち後の復興において中心的な役割を務め、興福寺南円堂の本尊である不空羂索観音像を含む多くの仏像の造立に携わりました。これらの像は文治5年（1189年）に完成し、康慶の代表作として称賛されています。

その後、建久5年（1194年）以前に法眼の位を得、建久7年（1196年）には東大寺大仏殿の脇侍像や四天王像の造立にも参加しました。康慶の活動があった時代から約50年後に彼は亡くなったと思われています。

弟子たちとその影響

康慶が築いた慶派は、運慶や定覚を含む多くの優れた仏師たちを輩出しました。彼の作品は、彫刻としての完成度は運慶にやや遅れを取るものの、仏師としての教えと影響は大きかったと言えます。快慶や定慶といった弟子たちも、康慶の技術やスタイルを継承し、発展させていきました。ケンチュー彫刻の確立に貢献した彼の存在は、後世の仏師たちにとって重要な指針となりました。

康慶の著作と記録

康慶の作品の中で特に評価されているものには、興福寺南円堂の不空羂索観音像や四天王像があります。また、その他に地蔵菩薩坐像、蔵王権現立像、不動明王像、伎楽面などが重要文化財としても認められています。

康慶の業績は、後の鎌倉彫刻を発展させる土台となり、彼の作品は今なお仏教美術の重要な一部として多くの人々に愛されています。

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