廃墟 (朝鮮の雑誌)

『廃墟』 - 文芸同人誌の歴史

『廃墟』（はいきょ）は、1920年7月に韓国で発行された文芸同人誌であり、時代の激動の中で生まれた文化的な試みとして記憶されています。この雑誌は、後に『廃墟以後』という後継雑誌も刊行されるほど、当時の文人たちに影響を与えました。

創刊と背景

『廃墟』は1920年7月25日に創刊され、当時の同人メンバーには金億、南宮璧、羅蕙錫、金瓚泳、廉想渉、呉相淳、黄錫禹、閔泰瑗などの著名な文人が名を連ねていました。また、金永煥、卞栄魯、玄鎮健、朱耀翰といった作家も参加し、さまざまな視点や作品が寄せられました。

この雑誌名は、ドイツの詩人フリードリヒ・フォン・シラーの詩の一節から取られたもので、「過去のものは滅び、時代は変わった。我の生命は廃墟から来る」という意味を持ちます。創刊当時、韓国は三・一独立運動の挫折の影響を受け、社会全体が失望と挫折感に包まれた状況でした。このような背景のもと、『廃墟』は、荒廃した現実を乗り越え、新たな朝鮮を築くための希望を込めた作品を掲載しました。

文学的傾向

『廃墟』の文学的な特徴としては、頽廃主義的な視点が顕著でした。その一方で、「頽廃を題材にすることで、それを克服し新生することに焦点を当てている」という見解もあります。この相反する意見は、当時の文化的な葛藤や社会的な問題を反映しており、文人たちの心の内面を如実に表していました。

発行状況

第2号は1921年1月20日に発行されましたが、その後は続刊がなく、残念ながら廃刊となってしまいました。1924年1月1日には、『廃墟以後』という新たな試みの雑誌が創刊されますが、こちらも創刊号での中断となり、『廃墟』は短い歴史に終止符を打つこととなります。

掲載作品

『廃墟』に収められた作品の多くは、詩、評論、随筆といった形で、当時の社会情勢や文学に対する考察が展開されていました。作品は、鋭い社会批判や自己探求をテーマにし、時に抒情的であったり、また時には厳しい現実を直視したものもあり、多様な文学的アプローチが見られました。

このように、『廃墟』は単なる文芸雑誌ではなく、時代の文人たちが抱えた思いを表現する場であり、また朝鮮の文化史における一つの重要な節目となったのです。

もう一度検索