廓清会
廓清会について
廓清会（かくせいかい）は、廃娼運動や純潔運動を推進する団体です。その目的は、男女間の倫理や道徳を向上させ、公娼制度を廃止することにあります。さらに、社会全体を浄化するための取り組みも行っています。
起源
この団体は1911年4月、当時の代表的な遊廓であった吉原遊廓が全焼した事件を契機に設立されました。この火災では、多くの娼妓が逃げ場を失い、犠牲になりました。キリスト教徒の有志たちは、この悲劇を受けて「これが現代の日本に存在すべきものではない」と感じ、人道的な観点から奴隷解放のために結束し、活動を始めました。
彼らは「吉原遊郭再興反対」の立場を取りつつ、公娼制度の再興を阻止しようと尽力しましたが、長年の慣習により、結局は再興が許可される結果となりました。このような状況を受けて、運動に関わった人々は、まず男女間の道徳を改善し、健全な思想を育むことが重要であると考え、「売淫制度を否定する社会的良心の発達」を目指す運動が作り出されました。
この団体の発足は、同年9月に神田青年会館で実施され、会長に島田三郎、副会長に安部磯雄と矢嶋楫子が選ばれました。また、理事には江原素六、評議員には小崎弘道、植村正久、井深梶之助、元田作之進、山室軍平など、様々なキリスト教会の指導者が名を連ねました。
発展
創設以来、廓清会は貞潔に関連する多種多様な運動に取り組んできました。禁酒に関する問題や国際的な道徳、芸妓問題、婦人参政権、さらには海外における醜業婦の問題など、広範囲にわたるテーマを扱い、講演や文章を通じて社会に訴え続けています。これらの活動のおかげで、大阪での遊郭を廃止し、遊郭の新設を阻止する成功事例もいくつか生まれました。
事業内容
廓清会の活動は多岐にわたります。具体的には以下のような部門に分かれています。
- - 編集部: 月刊誌『廓清』を発行。
- - 調査部: 公娼及び私娼問題、婦人問題、禁酒問題等の研究と調査。
- - 教育部: 演説会を開催し、啓発活動を行う。
- - 宣伝部: 宣伝活動を通じて運動を広める。
- - 社会部: 婦人救済や風教改善に必要な事業を展開。
役員構成には、理事長の安部磯雄（ユニ）、常務理事の益富清助（日本基督教会）、伊藤秀吉（日本組合基督教会）、主事の村上雄策（バプテスト）などが含まれています。
出版物
廓清会は以下のような著作物を刊行しています。
参考文献
- - 『基督教年鑑』日本基督教聯盟1934年版p.61
関連項目
このように、廓清会は日本において道徳的な意識を高め、公娼制度の廃止を目指す重要な団体として、長年にわたり活動を続けています。
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