廣島庫夫

廣島庫夫 (ひろしま くらお)

人物・来歴

廣島庫夫は1928年12月5日、宮崎県東臼杵郡北郷村（現・美郷町）に生まれました。彼は高等小学校を卒業後、1944年に山口県の海軍防府通信学校に進学し、そこでの教育を受けた後、フィリピン・マニラで軍務に就きます。1945年の年末に復員した後は、地方の大工の見習いとして働き始めました。彼の陸上競技への興味はこの頃芽生え、仕事の合間や夜間にランニングのトレーニングを行うようになります。

1949年、彼は競技大会に出場し、その結果好成績を収めます。特に東京で開催された第4回国民体育大会の5000メートル競技で2位に入賞したことが、彼の陸上競技への本格的な道を開くきっかけとなります。この成果を受けて、同年12月には旭化成陸上部にスカウトされ、正式に陸上選手としての活動を開始しました。

次第に彼は実力を増し、1952年には宇部市で開催された朝日マラソン（現・福岡国際マラソン）で5位に入賞し、その後も日本選手権マラソンで1953年に優勝を果たします。以降、毎日マラソンや朝日国際マラソン、別府大分毎日マラソンなど、多くの大会で数々の優勝と入賞を重ね、「重戦車」と呼ばれるほどの彼のパワフルな走りで日本のマラソン界で名を馳せました。

特に1955年に開催された毎日マラソンでは、彼が記録した2時間26分32秒が日本最高記録となり、これは亡き先人の記録を20年ぶりに更新するものでありました。しかし、日本国内での栄光に加えて、彼のオリンピックでの成績はあまり振るわず、メルボルンオリンピックでは34位、ローマオリンピックでは31位という結果に終わってしまいます。

広島の選手としてのキャリアは、1957年の朝日国際マラソンでの2時間21分40秒の優勝により、新たな光を見出しましたが、彼は1960年10月に脊椎分離症を理由に現役を引退します。彼の引退後は、中京大学の中尾隆行や寺沢徹、君原健二、円谷幸吉などが活躍し、日本の男子マラソンは黄金時代を迎えます。

広島は戦後の日本マラソン界の再生に向けて、重要な役割を果たしました。特に現役時代は、マラソン足袋を履いて出場し、戦前からの伝統を受け継ぎながらも、新たな世代への橋渡しを行いました。彼の影響と足跡は、日本マラソンにおいて今なお多くの人々に語り継がれています。1996年、彼は永遠の眠りにつきましたが、その功績は決して忘れることはありません。

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